2020年06月18日 (木) 21:07
「世界記録のヴァージン」の世界でも、4年に一度開催されるオリンピック。
今回、東京でオリンピックが開催されるということで、現実に女子5000mが開催される8/3に、小説でも女子5000mの決勝回になるよう、年初から構成を組み立てているところでした。
ですが、ご承知の通りオリンピックは1年延期となり、今はオリンピックのことを話題にすることもできないほど、世界はコロナという未知の病に苦しんでいます。
オリンピック延期は、自分のモチベーションにも深い影響を及ぼしました。
こんな状況で、オリンピックの話を書いていいものなのだろうかと。
フィクションの世界であるにもかかわらず、テーマがテーマだけに苦しみました。
これからお届けする「世界記録のヴァージン」の66話、67話は、オリンピックが延期される噂が立ってから、急転直下の延期が決定される時期に、不安の中で書いたものです。
状況が状況だけに、当初のプロット通りに華やかな「スポーツの祭典」を書くことができませんでした。
病気の流行によって、レースに出られないこと。
国外の移動が制限される中で、オリンピックを諦めなければいけないこと。
とてもオリンピックどころではない中、本番で出せる限りの力を出すアスリートの姿。
そのような要素を入れない限り、3月当時の自分はオリンピックの話を書くことができませんでした。
いや、いま書こうとしても、華やかなオリンピックのシーンは書けないでしょう。
変わり果てた現実に寄り添ってしまうことに、いろいろな意見があると思います。
小説でもコロナを連想させるんじゃないとか。
それでも、自分なりに「今」を生きるアスリートの姿を書いたつもりです。
ぜひ、こんな状況だからこそ、小説では開催されるオリンピックをお楽しみください。
なお、8/3更新回で女子5000m決勝がスタートするのは、変更ありません。
うちはフィクションとは言え、オリンピックという4年に一度あるはずのもので
どうしても現実を意識しないといけず……。
それでも「いま書けるものはなんだろう」と思いながら、現実に立ち向かっています。
この先、ニューヨークの街が今までとは違う現実を歩み始めるかも知れません。
でも、その中に変わらないもの、この生活でも消えていかないものはあると思うのです。
今は難しい時期かもしれませんが、早くビジョンさんの考えるニューヨークが
書けるようになる時を待っています。