2016年03月07日 (月) 06:08
さて、今回は物語に出てくる登場人物の命名についてお話を。主人公ジーク・フリーズはその名の通り、R.ワーグナーのオペラ大作「ニーベルングの指環」四部作の主人公ジークフリートから名付けたもの。クンドリー姫は「パルジファル」に出てくるヒロインクンドリーから。
ハンス・リックは、ワーグナーの生前彼の作品を酷評した音楽評論家ハンスリックから取ったもの。だから当然、この物語の世界観に反抗する最大の人物として描いています。マリア・ウィドウは「メリィ・ウィドウ」という他の作曲家の作品名からもじったもので、ワーグナーとは直接関係ありません。
ワルターは、20世紀の名指揮者に数えられるブルーノ・ワルターから拝借しました。彼はモーツァルトやマーラーの交響曲で名演を数多く残した人でした。ワーグナーを得意としたとは聞いていませんが、たぶんいくつかは振ったことはあるはずです。ザトペック親方に至っては、人間機関車と称された伝説のマラソンランナーであるザトペックからなのでもはやワーグナーはおろかクラシック音楽とはまったく関係がありません(苦笑)
そして、今回のお話の後半で名前が出てくるヴォルッフ少佐は怒れるロマン派と称され晩年に発狂死したフーゴー・ヴォルフからつけました。ワーグナーの熱烈な信奉者だったヴォルフの名を借りたこの新しい人物の登場が今後この物語にどのような影響を与えるのか、どうかほんの少しだけ頭に留めて置いてください。