衰退する美少女ゲーム業界……サブカルチャーやネット小説はどうなるのか?
2014年05月11日 (日) 23:14


最近、美少女ゲーム業界の衰退が凄まじいという話を良く聞く。

 大きな分野で言えば、ネット小説もサブカルチャーであり、そうした風潮の対象と成ることは避けられない。

 なので、ネット小説の衰退が一体、何時なのか考えてみることにした。

 まず最初に、美少女ゲーム業界の実情を考えてみた。


 ちなみに美少女ゲーム業界とは、主にエロゲのことである。狐は此処で言葉を着飾らない。エロくたっていいじゃないか、キツネ……という冗談は横に置いておくとして、エロゲ業界やアニメCD業界などは日本のサブカルチャーの外縁部に位置し、サブカルチャーの変化を敏感に、何よりも最初に受けるからである。サブカルチャーの変化はこうした部分からである場合が多い。

 エロゲ業界……それは男の浪漫、もとい非常に狭い業界である。

 彼らは、倫理の問題で叩かれやすい分野である事もあるが、それ以上に儲からないのだ。

 有名どころは平均で一作に3000万近くかかるが、現在では1万本売れればヒットとされるほど低調な業界である。昔は10万本クラスが多々あったが時代の変化は業界に寒波を齎した。ちなみに、RPG要素が入れば5000万掛かることもある。無論、ソニーやらスクエニのゲームに比べれば製作費は少ないが買い手も少ない。それが販売価格の高騰を招く。無論、解像度の向上や、CGは動きで見せるアニメとは違い、静止画として1枚の完成度が要求されることからその精密性に雲泥の差があるという理由も有る在るだろう。

 考えてみれば当然のことであるが彼らは衰退する業界である。

 しかし、自分はこれ等の理由が衰退の理由ではないと考えている。


 つまり、ここからが本題。


 衰退しているのはエロゲ業界だけでなく、ゲーム業界全体に言える事なのだ。

 無論、若者の人口が減っているというのもあるだろうがその最たる理由が、提供されるコンテンツの多様性にあると狐は推測する。

 ゲーム機は無数に増え、PCがあり、コンテンツの提供媒体として考えるならばニコニコ動画やユーチューブもその一翼を担っていると言っても過言ではない。しかも、コンテンツはスピード感を求められてすらいる。スマホのゲームを見れば分かる通り、スピードとお手軽さこそが求められているのだ。

考えてみればアニメの現状を見れば分かることでもある。一昔前は4クール放送だったのに、今では大半が1クールになっており、制作側は明らかに回転数を考えている。寧ろ、そうして回転数を上げる事でヒット作を効率的に模索しているという現状自体がアニメ業界の悲鳴そのもとも言える。


 彼らは提供するスピード感で敗退し、そしてプレイ時間の長さがネックになっているのだ。


 制作側がスピード感や回転数を考えるように、消費者側もそれらを重視しているのだろう。後者が望んだからこそ前者が応じたのか、後者が衰退しはじめたからこそ前者に合わせたのかは分からないが。


 ならば安く、短めのものを作ればいいかといえば、ゲーム業界に限って言えばそれは否である。

 無論、一人気炎を吐いているスマホゲームが例外だが。あれのスピード感と回転数は尋常ではなく、製作費も安く、どちらかと言えば直感的な発想を売っているに過ぎない……直ぐに落ち目になるだろう。スピード感を重視するが故に話題提供の為の発想の消費速度が尋常ではない。パズドラレベルが幾つも出るならば現在の株価にはならないのだ。


 ちなみにTVゲームやエロゲ業界では、短く、安い物を作ればいいかというとそうでもなく、その辺りは彼らも察している。エロゲ業界でも低価格商品というのが出回っているが、それが販売数上位を席巻するところなど見た事もない。……というか狐としては見たくない。尻尾が萎える。

 企画立ち上げの労力や、短いものを安く短期間で作ることはスピード感を出す事が出来るが、発想を大きく消費し、新しいコンテンツを提供し続けるという点では息切れを起こす可能性が高い。

 
 なんてこったい!


 ちなみに、ライトノベルは少し事情が違う。


 企画立ち上げの労力はすくなく、作品を完結していなくともある程度たまったところで単行本として発刊してコスト回収をするのだ。無論、月刊吉岡(多分知っている人はいない)やインデックスの鎌池先生(ヒキコモリ作家)のように凄まじい速度があれば、相乗効果で更なるスピード感をも演出できる。どちらも一時的に凄まじい売り上げを叩き出した。

 ちなみにゲームが同じことをすると「分割」と称されて叩きまくられる。事前に告知していても叩かれるが、プレイしてからでないとわからななんて事になれば凄まじいバッシングを受ける。英雄伝説閃の軌跡でブチ切れた者も多いだろう。ちなみにあの会社はあれが普通なので怒る奴は初心者だが。


 結局、ゲーム業界に限らず、将来全てのビジネスを主目的としたコンテンツは途絶える……或いは壊滅状態となるのではないかと思います。

 其々の分野のプロがいなるでしょうね。ニコニコ動画な小説家になろうみたいな個人が自分の作品を表現する場所が隆盛を極めるのだと思います。もしかするとコンテンツの最終形態になるかも知れません。

 まぁ、行ってしまえばプロが作ったものは金がかかって高いから、アマチュアが作ったかつてのプロに近いものを、刹那的に無料で楽しむ風潮になるんです。実際、ゲームでもクオリティといった面でとらえても、デジタル化とプログラムの効率化が進み、商業作品とアマチュア作品の大きな差異は小さくなってきていますしね。……最近の同人ゲームは侮れん。というかエロゲも絵と古里古里あれば作れるし。


 海賊版やら違法ダウンロードといったものがあるからゲームやCDに限らず様々なソフトが売れないという噂もありますが、無料でコンテンツを消費したがる人間は、それらが完璧規制されても無料で楽しめるニコニコ動画な小説家になろうなどを中心とするのだと思います。金を出さない奴は何をしても出さん。

 まぁ、結論としては無料で楽しめる小説家になろうや低価格なライトノベル業界は暫くは衰退しないのだ。後者は電子化の波で、小説家としての収入が激減し、魅力を失い、勢いを失う可能性があるが。

 無論、其々の業界のプロフェッショナルがいなくなるということは、質の低下を招くのでしょうね。昔の小説家になろうを知っている人なら分かると思いますが、昔の小説家になろうはそれにりに文章に自信のある作者でなければ作品を上げ難い雰囲気がありました。しかし、二次創作の隆盛や若者でも書籍化して大金を得られるかも知れないという理由から、挑戦者が増え、全体の質が低下した。つまりは魅力を喪うのだ。エロゲ業界は昔の様に買ってくれる僅かな層に合わせて自分を合わせるのだろうが、小説家になろうはどうなるのだろう?

 
 まぁ、ネット業界は暫くは大丈夫! 

 かな?

コメント全16件
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葛葉狐
2014年05月18日 20:19
宗篤さん

 衰退は問題かもしれませんが、訳の分からない有象無象が淘汰されるのは仕方のない事なのでしょうね。最近は、見苦しい企業も少なくないので。

 美少女ゲームの売り上げは基本的に発売開始から一週間で決まるので、結局売れない作品はダウンロードされることもないのだと思います。綱渡り企業はこれからも増加していくでしょうが、だからこそ良作は増えると思います。自分が押してる企業は何処も、経営が傾いている気配はありません。自分としては大いに淘汰され、覇者を見い出せばいいと思います。

 ネット小説は、大多数が金銭が絡んでいない自主的なものなので、売り上げによって勢力が減衰するということはないと思います。まぁ、比較的簡単に作家への道がある内は、増加傾向のままでしょう。
宗篤
2014年05月18日 17:56
かつて、あるいは未だに美少女ゲーム業界に携わっている友人知人が幾人かいる身としては、現在の衰退振りは悲しいといった通り一遍の言葉では表せないだけのものがあります。

ですがファイル共有ソフトの本当に影響は大きくあったのです。
確かに金を出してまで買わない人は多いでしょう。ああいったものをおおっぴらに所持することに大いに眉を顰める方が大多数でしょうし、全体のダウンロードの数だけ売り上げがあるとするならば美少女ゲーム業界の市場は最盛期の何倍もの規模になります。
ですが買うか買わないか迷っている層は確実に買わなくなりました。WINNYとSHAREとの普及に合わせる様にして業界のパイは見る見る減少していったのです。それはもう悲しいほどに。
しかも群れやすく一定の方向を向いて流れに同調しやすい日本人の性、自分の目と頭脳で良否を判定するのではなく、大型掲示板やレヴューサイトで高評価、あるいは話題になっているブランドの作品だけを買うようになってしまったのです。小さくなったパイは一部の勝ち組ブランドのみが切り分けて食べることが出来ただけでした。
結果として多くの中小ブランドは吸収あるいは分解、倒産し、業界はいくつかの巨大な組織だけが残ったのです。
戦国の世がいつしか大きな諸侯によっていくつかに分割され、やがて覇者によって統一されるように、それはどんな業界においても必ず起こりうる事象なのかもしれません。
ですがそうなれば会社という大きな組織を回転させていくために絶えず資金を捻出しなければいけなくなります。一人の人間がおもしろいと思うもの、挑戦的なものではなく、無難で確実に売れるものを作らなければ成らなくなるのは自明の理です。
それは刹那的な欲求を満たすゆえに、消費としての需要はあるかもしれませんが、それ以上のものを生み出すことはおそらくないでしょう。
以前のような大きなムーブメントを起こすことは望めないでしょう。
業界はもはや縮小再生産をしながら、会社を維持し、社員を食わせて一時でも破滅の時を遅らせるしかないのかもしれません。とても悲しいことです。

願わくばラノベ業界・・・いや、せめてこのネット小説界だけでもただ消費するだけでない娯楽コンテンツを供給する場であってほしいと願わずにはいられません。
葛葉狐
2014年05月12日 21:56
大本営さん

小魔女は味のある作品がありましたが、大多数に受ける作品を出せなかったので、それが敗因でしょうね。まぁ、ねこねこソフトのような復活劇もあり得るので待っていれば……

 魔法使いの夜は散々たる売り上げだったそうですね。あれほど引き伸ばして、あのレベルならば仕方ないと思いますが。

 少なからず影響を受けたというより、自分の場合は全力で受けていますね。というか大半の人物がエロゲを参考にしていますし。
大本営
2014年05月12日 20:02
Little Witchが活動停止してからやっていないな。
白詰草話やロマネスクとか大好きで、全作品購入してたんですけどね。
強いて言えば「魔法使いの夜」は購入したけれど、あれはエロゲーではないし。
もっとも、嫁さんが居るからやりにくい面もあるのですけどね。

それはそれとして、エロゲーの経験が小説書く上で少なからず影響があったのは事実ですね。
葛葉狐
2014年05月12日 00:31
吉夫さん

随分詳しいですね(笑)。貴方となら美味しい酒が飲めそうです。

メーカーが増えているというより、大元の株式会社や有限会社が作成部門やそのジャンルごとにブランドを分割しているだけですからね。


 でぼの巣は許してあげてください! 山本先生が後先考えずにスタジオ・エゴから反乱したのが原因です。キャッスルファンタジアの新作も潰えましたし……シナリオの人などもそろえられなくて、人数もいないので、同じゲームシステムを使いまわすという現状です。山本先生一人であの数の原画と速度を維持しているのは驚きですが……。


 焼き増しは、絶対にサーカスの所為ですね。潰れればいいのに……。まぁ、人気作の後続の方が売れるのは事実ですし、ある程度であれば続くのも良いと思いますダ・カーポみたいに何時までもしがみ付いているのは未練がましいですが、アリスのランスみたいに時折、だすならいいと思うのです。

エウシュリーは同じ世界観を使いつつも、多様性を見せているので評価できると思います。まぁ、あのゲームシステムは普通に作る場合より倍くらい金が掛かるようですが。

わたしは、スマホのゲームは須らくクソゲーだと思うのでしていませんね。ある程度、プレイ時間がない作品ってダメなんですよね。面白い作品を長く楽しみたいという考えでして。
葛葉狐
2014年05月12日 00:22
折れた羽根さん

確かに閃の軌跡は、予想していない人は多かったでしょうね。でも、あれでもいいほうですよ? なにせ空の軌跡は三部作でしたからね。しかも最後までしないと分からないという悪夢。でも、物語の引きが凄まじく上手くて、続きが出る事の方がうれしくなってしまう作品でもありました。閃の軌跡は、空の軌跡に比べて物語が薄っぺらい印象があるので、怒る人が多かったのでしょう。

 エロゲ業界は、90年代に戻ると思います。

 そして自分の予想では東のアリス、北のエウシュリーとなるでしょう。西のエルフは滅亡でしょう。アージュなどはメディアミックスで生き残るかも知れません。露骨にエロゲの本分を果たしているアストロノーツなども有望株ですね。

月刊菊地秀行……そういえばあのヒトもすごかったですね。一分では手が4本あるとかないとか。
葛葉狐
2014年05月12日 00:09
ベギンレイムさん

ええ、良作の数は変わっていないでしょうね。ですが、良作の一般的な定義の変質と作品数の増大が、旧来の良作を圧迫しているのもまた事実です。それに、才能のある人はラノベの大賞に挑戦する人も多いので、或いは、そうした場所に挑戦する勇気と能力がない人がこうしたところに集まるのかも知れませんね。

 ちなみに自分は、ラノベの大賞に紙媒体で送る時の印刷代で萎えました。二作刷ると黒インクが空になるなんて……
葛葉狐
2014年05月12日 00:04
狐きゅん


ネットゲームは、他者と話題を共有し易いという利点があるので、これからもゲーム業界の一翼を担っていきますよ。個人でするゲームより、そうしたもののほうがとっかかりやすいのでしょうね。

この夜中にアイスなんて……太りまっせ?
Victor
2014年05月11日 23:53

あ……エロゲーのメーカーがここ数年一気に増えたことを知っている若者が通ります。←待て
同じメーカーなのの、そこから分岐、つまり異なるジャンルを作り出すのを知っており、それらをのぞくと意外と楽しいのですがもう毎回同じ世界観なのでさすがに飽きる……。でぼのとか、あれは生き残るために同じシリーズばっかり……。

エウシュリーなど、リメイク版など出して過去のユーザーを引き戻す。なおかつ前作においては同じ世界観でありながらも未来のことを描き、または違う作品では過去であったりするのです。

これ、意外と飽きないのは全部繋がっているんですよね……。

恋騎士から銃騎士へとさせたメーカーさん、絵師さんええからもっと違うのにすればいいし……。恋剣など、再燃ということで二作目……まだいいかな。

……おっと、関係ないことばっかりですいません。
が、焼き回しがエロゲー業界では普通かな。

Dmmとか、お手軽に出来るスマホで課金さえすれば楽しめるシステムですし……。え。とあるの作家引きこもりなんですかw
こんばんわ。
英雄伝説閃の軌跡でブチギレた情弱です。あれは、騙されました。やっぱり事前にちゃんとアナウンスはするべきだと思いますね。まあ、アナウンスした場合は「有料体験版か‼︎」って叩かれていたと思いますが。


美少女ゲーム業界は、これからも淘汰が進むでしょうね。ちゃんとした技術があるところだけが生き残れるんでしょうね。いつまで美少女ゲーム、というよりは、エロゲ業界自体が生き残れるかは分かりませんが。


昔は月刊菊地秀行があったみたいですね。菊地秀行にハマっていた時代があったので、集めるのが大変でした。


結局のところ、どの業界でも、実力のある一部(売り上げが一定以上ある一部)のみが生き残れるんでしょう、たぶん。
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