『夢をみる島』(ネタバレ注意)
2012年01月16日 (月) 23:02
 冬休み中、ゼルダの伝説のタイトルを2つもやったりしました。一つ目はふしぎのぼうし、二つ目は上にもある通り、『夢をみる島』です。

 ふしぎのぼうしは、普通に面白い、という感じです。ラスボスで一度詰みかけたんですが、適当にエイエイととあるアイテムを振っていたら倒せちゃいました。ちっちゃくなった時の不便さが少しムッ、となったりしましたが、こんなもんかとも思いました。まあ、もうちょっとちっちゃいままでふらふら散歩したかったです。

 で、本題は『夢をみる島』なんです。これは、はっきり言ってプレイした人にしかわからない切なさ、感動があります。僕はプレイしないだろうと思って結末を知ってしまっていたのでその感動が少し薄れてしまったんですが、それでも最後、ゲームボーイカラーの、あの簡素な絵(3DSだけど)を見て胸が熱くなるほどでした。
 はっきり言って、最近の作品にも全く引けを取らないほどの作品だと思います。なので、ちょっと興味が湧いた方は、ぜひやってみてほしいです。3DSをお持ちなら、バーチャルコンソールで売っているので、ぜひ。
 え? 3DSなんか興味ないから持ってない? ……まあ、それも買えとは言いません……

 というわけで、ここからはネタバレなので、興味がある方はお引取り下さい。このネタバレはすべての根幹に関わるんです。


















 ふう、こんなもんでしょうか。では行きましょう。ぱっと最初から最後までを重要なところだけを追います。

 リンクは大陸での武者修行を終えて、船で帰路に付いている最中でした。ところが嵐に巻き込まれて、リンクの船は難破、リンク自身も意識を失ってしまいます。

 気づくと、リンクはタリンという名前のおじさんの家で寝ていました。そこにはマリンという名前の可愛い女の子がいて、リンクは自分がコホリントという島に流れ着いたことを知ります。

 タリンから盾を受け取ったリンクは、紆余曲折あって、何とか(自分の名前入りの)剣を見つけ出します(盾にも名前があります)。その時、一羽のふくろうが突然飛んできて、リンクに語りかけます。

「全ては『かぜのさかな』の目覚めが教えてくれる」と。

 リンクは、それがこのコホリントの島を脱出するための鍵になるのだと信じ、ふくろうの言葉に従って最初の迷宮を突破します。ですが、そこにいた巨大な蟲に、なぞめいた言葉を浴びせられます。

『よそ者、邪魔者』と。

 大して気にもかけず、手に入れたロック鳥の羽根でひらりひらりとかわしてその蟲を倒したリンクは、その奥で不思議な不思議な『セイレーンの楽器』を手にします。そして揚々と迷宮を引き上げたリンクの前に、またしてもふくろうが現れ、その『セイレーンの楽器』が『かぜのさかな』を目覚めさせるのだといいます。リンクはその言葉を信じ、次々と迷宮を突破します。その度、あからさまな『リンクに対する』敵意を迷宮の主に向けられながら。

 そのうち、リンクはふくろうの像から不思議な話を聞きます。

『ゆめがさめたらあわになる。まものもひともあわになる』

 そして、さらに進むと、衝撃の真実を知ります。

 実は、コホリントそのものがかぜのさかなのゆめであり、かぜのさかなが夢から覚めた時、コホリントは消えてしまう。つまり、リンクはコホリントという世界を破壊するためにきた使者だったのです……


 大体、プレイヤーの主観が伴わないような範囲で書くとこれくらいです。単に無機質なキャラクターばっかりなら、消すことも大してためらわないでしょうけど、悲しいことに、めっちゃ濃いんですよね。キャラが。マリンちゃんも、ただ可愛いだけの女の子かとおもいきや、デートの最中にドSモードを披露したり、浜辺の会話でシリアスになってみたり。とにかくキャラが濃くて、印象に残る人ばっかり。それが、自分のために消えてしまうとなったら、戸惑うこと必至でしょう。
 のめり込み過ぎだとか、冷めたことは言わないで下さいヨ。
 それでもゲームはクリアするんですが、その時、世界は本当に消えてしまうんです。マリンちゃんは、いつものように歌ったままで消えていきます。平和のうちに消えて行く悲しさといったら無いです。ここで胸がつかれました。


『夢をみる島』は、ファンからは『究極の夢オチ』と言われています。うなずけますね。ゲームは娯楽が第一ではあるんですが、メッセージを伝える手段にもなりうるんだ、という事を強く印象づけられますね。自分がプレイしているからこそ、その究極の真実に戸惑い、クリアすらもためらわせる。それが『夢をみる島』の魅力です。

 で、メッセージの方は、最後に登場するキャラ、風のさかなが語ります。

だが、ユメは さめるもの
それが、しぜんのさだめなのだ。

わたしが、めざめると、
コホリントじまはきえるだろう

しかし、このしまの おもいでは
げんじつとして、こころにのこる。

そして...キミはいつか
このしまを おもいだすだろう。

この おもいでこそ、ほんとうの
ユメのせかいでは、ないだろうか

 これははゲームとプレイヤーとの関係のメタファーという解釈があります。どんなゲームにも、クリアという形で世界の終わりがやってきます。そりゃあ、仮想の世界なわけですから。それでも、そのゲームをして感じたこと、思い出は現実のものとして心に残りつづけるのだ、と。
 何か、書いていてしんみりしてきました。僕、やっぱりゲーム好きなんですよね。


 で、これがゲームボーイカラーの作品なんです。音だって、グラフィックだって、アニメーションだって今に比べれば陳腐です。でも、今あるそこらの作品を軽々と乗り越えてしまうクオリティのストーリーをもって、今でも名作と呼ばれ続けている作品なんです。
 今でこそ、容量の増加に伴って、濃密なストーリーを組むことができます。その濃密さで人を引き込み、感動させることで名作と言われるのが最近のゲームです。ですが、これらの時代の作品はそれができない。だからこそ、『夢をみる島』はテーマを一つに絞り込み、そのテーマをあるときはストレートに、そしてあるときはソフトに伝えるために全てを組み上げた。単刀直入、と言いますか。

 ここらへんは小説にも学べる所があると思ってます。ストーリーを複雑、濃密にすることばかりにとらわれず、この明確に、ストレートに人の心に触れるような構成にするのも、また一つの方策ではないかと思ってます。まあ、今の僕がひしと感じておりますが……。

 やっぱり、ゲームのシナリオライターになりたいです。


 おまけ。夢島はカオスなところもいっぱいあります。有名所はこれですねww

・万引きができる。
・そして何食わぬ顔で入ったら店長にビームでぶっ殺される。
・そして名前が『どろぼー』になる。
・マリン「あら、どろぼー。 ここがよくわかったわね――」

 とにかくゼルダは面白いです!
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