2013年11月28日 (木) 01:18
【グラスベルグ帝国】
グラスベルグ帝国にある帝都に停泊中の超巨大十字型魔導空母、グランドクロスにある艦長室に軍服を着た複数の人が存在した。そしてその艦長席に座っているのは15歳くらいの赤い髪の毛に青い瞳をした軍服姿の少女が艦長席のテーブルにだるそうに手を置きながら宣言した。
「えーこの度、アタシは皇帝陛下から帝国軍全軍を扱う元帥の地位を頂きました」
「ぶっ!? いきなりやな、それ」
「何をやらかしたんだ」
「何もしてねーよ!」
黒髪ツインテールの16歳くらいの少女と茶色い髪の毛をしたマフラーをしている女性の言葉に少女は叫んだ。
「あの糞皇帝、面倒だからってアタシに全部押し付けやがったんだ! メルクリア王国とアステラ連合国、チェルア国から技術を寄越せや、魔導戦艦寄越せとか、チェルアなんてそれは我が国の物だとか馬鹿な事行ってきやがる! それを全部アタシに対処しろって丸投げしてきやがったんだぞ!」
頭を掻き毟りながら、足をバタバタさせる姿は年相応だが……既に二十を過ぎているとはどうしても思えない。
「断ったらええやん」
「そうだな。NOと言える者だろう」
「いや、言えるけどさ……どうしても伝えられた情報を考えると……心配じゃんか」
「親バカだな」
「うっさい」
「まあ、お腹を痛めて生んだ子がなんかおかしいみたいやし……」
「だけど、子供達が成長する機会も奪いたく無い。だから、外交とかでいけると思ったんだ……それが間違いだった」
そんな話をしていると、艦長室の扉が開いて軍服を着た金色の髪の毛を逆毛にした182cmくらいの男性と同じく金色の髪の毛をした166cmくらいの女性が入って来た。
「少しは落ち着いて。取りあえず、これでも飲みなさい」
「ありがとう、ライサさん」
「どういたしまして」
暖かいハーブティーを貰い、飲む少女。だが、もう1人の男性から突きつけられた言葉に決断をする。
「メルクリア王国とアステラ連合国、チェルア国の3国から連盟で元帥閣下に会いたいとさ。会えないと言ってやったら、この手紙を預かった」
「どれどれ……ふーん、成程……いいぜ、やってやるよ」
「どうしたん?」
少女は黒髪の少女を無視し、テーブルの板を外して暗証番号を打ち込んだ後、声紋と網膜、魔力波動を識別してから現れた無線機を取りだした。
『アタシは、皇帝陛下よりグラスベルグ帝国軍最高司令官の地位を預りになった。それには戦争を起こす許可も貰っている。よって、これよりグラスベルグ帝国軍最高司令官の地位により、諸君らに指令を与える。これは勅令であると心得よ』
無線機を通して発せられた言葉は全ての帝国軍へと届けられた。
『メルクリア王国、アステラ連合国、チェルア国の馬鹿共が勇者を召喚したそうだ。その勇者を差し向けられたくなかった、技術を寄越せって愚かにも我らが帝国に喧嘩を売ってきた。彼ら曰く、我々は盗人のようだ。それを愚かにも事実のように他国にも伝えている。我らが帝国はそれを止めるよう通告したが、一向に止まらない。しかもここ数年間、ずっとだ。そして今度は脅迫だ。流石に皇帝陛下も諸君らも限界だろう。よって、諸君らのお待ちかねの戦争を盛大に行うとしよう』
「あははは、本気みたいやな」
「おい、そもそも戦争になるのか?」
「無理だろう。どう考えても3国とグラスベルグ帝国の戦力差じゃな」
「フリオもそう思うんや?」
「当然だろ。完全蘇生ではないとはいえ、蘇生を可能とする存在相手だぞ」
「無理ですね」
「そこな大悪魔さんは?」
「興味ないな。ただの空中から行われる一方的な虐殺だろう」
「あははは、勇者しだいやけどね」
グラスベルグ帝国は魔導戦艦を手に入れた後も他国に対して変わる事は無かった。いや、魔導船を提供する事によって他国との輸送を簡単に行えるよう大陸経済に協力していた。もちろん、魔導船を鹵獲しようとする存在に対してはありとあらゆる対策が取られていたし、それを行った国には例外なく魔導船の航路を封鎖した。これにより、商人達は封鎖された国を無視してグラスベルグ帝国と交流のある国へと流れ込んで来る。その為、メルクリア王国とアステラ連合国、チェルア国の三国はほぼ商人が寄り付かない国となっていた。
『諸君、奴らが言うには我らが帝国の悪逆非道の国らしいぞ。よって、その通りにしてやる。何も帝国内で戦争する必要もなければ連中を待つ必要もない。こちらの準備が整い次第宣戦布告を行い、攻撃を開始する。よって、魔導戦艦は防衛部隊を除き、全艦グランドクロスに集合せよ。なお、魔導船は自動操縦に切り替え、乗組員は1人を残して緊急転移装置でグランドクロスに帰還し、魔導戦艦及び追加武装装甲を施した魔導船に乗り換えよ。明日、宣戦布告し三日後には攻め込む。各自、準備を整えよ』
「さて、3国を相手にするんだからこっちも3方面作戦を行う。アタシが全指揮を取るから、2人は勇者と遊んでおいで」
「了解や」
「少しは楽しめるか」
「ところで、護衛はどうするん?」
「ああ、巫女を召喚しておく。だから、アタシの護衛は問題ない」
「そりゃ、問題ないやん」
「魔王が護衛とは、容赦ないな……」
元帥閣下は本気で3国を滅ぼす気のようだ。
「子育てから解放されるとこれか……」
「あははは、あの子達がいい意味でストッパーになってたからね」
フリオとライサの2人は壁際で3人の話し合いを聞きながら、敵軍の冥福を祈った。
「さーて、バカ息子どもを迎えに行くとしようか」
「せやな」
「趣旨は違うが、私の弟子でもあるからな……弱いままなら、少しジル諸共テコ入れをしてやるか」
「それええな」
「じゃあ、3on3でやるか」
「それがいいな」
「ふふ、楽しみやなー。ああ、前菜もゆっくりと味わったるか……」
第一、第二、第三天魔王とグラスベルグ帝国内で呼ばれている3人の少女達は容赦無い攻撃に見舞われる事となった。
本編に載せるならある程度主人公サイドで
ストーリー展開してからが良いと思います
章立てするなら1章終わった後とか