11/18の講座で講座中に告知した通り、事前に受付していた質問から短く回答できそうなものに回答しました。
活動報告の情報まとめに入れたら非常に読みにくかったので、別にまとめることにしました。
※全ての質問ではありませんし、講座内で回答したものは除きます。

○NHK講座の質疑応答

Ｑ長編小説を書く時に、既に書いた情報とそうでない情報がごちゃごちゃになってしまいそうです。しかもコミックの特典などで、時期を遡って特典ＳＳなどを書いてくださっていますがその時点で出ている情報に合わせて頭を切り替えることも困難に思えます
どのような対策をされていますか？
Ａ自分が何を書いたのか本文を読み直しつつ、当時の記憶を引っ張り出しながら脳内で時間軸とキャラのピントを合わせていきます。
頭の中は本当にめちゃくちゃになります。すごく疲れますね。

Ｑ自分が進めたい話の方向があるとして、そのキャラの性格や好みを考えると、そっちの方へ話が進まない、という事がかなり起こるのですが、先生は同じような事はありますか？あるとすれば、そのような時どのように対処されていますか？
Ａそのキャラが主人公で、頻繁に起こるのであれば、プロットかキャラ設定のどちらかが破綻しています。キャラを優先したいのか、ストーリーを優先したいのか考えて、作り直すしかないのでは？
脇役の暴走で主人公が思ったように進めないのであれば、排除するか別のキャラにすげ替えます。

Ｑ他の作品を見ているときに、「あ、このネタかぶった！」と思うことはありますか？
Ａあまり思いません。ストーリーを進める上で必要だから出しているネタが被っていても、どうせストーリーが丸々一緒になるはずもないので、少々細かい部分に似ていても別に気になりません。

Ｑ先生は本好きの世界観を作り上げるのにどれくらい時間をかけられ、作成された資料はキャンパスノートにすると何冊ぐらいになるのでしょうか？
Ａノートで換算したことがないのでわかりません。
500枚入りのコピー用紙5～6個分くらい？　本好きを書くためにそのくらいは買っていると思います。

Ｑ小説を書き出すまでに、どこまでストーリーを固めて、登場人物の設定を掘り下げますか？例えば、本好きの場合、マインの辿る道筋は兵士の娘を書き出した時点でどの程度決めていましたか。また、ゲオルギーネやグレーティアの過去も初期の時点から、構想としてあったのでしょうか？
Ａ大枠（最終的に女神の聖典を手に入れて、自由に図書館を作れる立場になる）はありました。
キャラの過去を決めるのはキャラ設定の時点です。キャラを決めるのは各部の間です。
ゲオルギーネはアーレンスバッハとの関係で決めたので、第二部のキャラ設定を作る時にできました。グレーティアは第四部と第五部の間で詳細ができたキャラです。

Ｑ資料として特に調べられたジャンルを教えてください。
Ａ歴史や地理、建築などの資料も読みましたが、分類番号で言うならば381～389の資料には一番お世話になりました。
風俗習慣、民俗学、民族学です。

Ｑ小説の構想を練る際、色々なことを調べるのですが、調べる内容の情報量が多すぎるのか頭になかなか入ってきません。ノートにメモを取ろうとするのですが、自由に書いていると色々な情報が混在して、よく分からなくなってきてうまく情報を蓄積できず悩んでいます。
Ａ私はストーリーから考えるので、ストーリーのどの部分で必要になるのか。世界設定のどういう部分で必要なるのか、どういう情報が欲しいのか考えて資料を集めます。
調べたい項目をある程度分ける。（平民の食生活を調べる時に貴族のものは見ない。書き留めるとしても別紙にする）
調べたいことから脱線しない。（興味を引かれる記述でも付箋だけ貼って読み飛ばす。雑多な形ではなるべく頭に入れない。食生活以外の建築物や生活習慣を見ない）
設定に理由付けをする。（何のためにそうするのか、どうしてそうなるのか、原理的な部分を考える）
を徹底しています。
特に「本好き」の資料集めの頃は子供と図書館に行っていたので、子供が飽きるまでというタイムリミットがありました。
調べたいことを細分化しておかなければ知りたいことを何も調べられないまま終わる可能性も高かったです。

Ｑ『本好きの下剋上』の舞台ユルゲンシュミットの宗教観について、神話や既存の宗教を研究されて作っていったのでしょうか。
Ａいいえ。神様や祝詞の参考に多少は調べましたが、ストーリーを進めるのにちょうど良い部分を摘まんでいく感じで、研究という程ではありません。

Ｑ書いていると冗長になりがちな、でも必要な要素(世界観や用語の説明など)を上手く本文に織りまぜるコツを教えて頂きたいです。
Ａ必要最低限だけを小出しにする。
一度に説明しようとしない。
行動や会話の中に入れる……などでしょうか。
知らない人に説明するシーンなどを入れるのは鉄板ですね。

Ｑ小説を書く上で気を付けていることは何ですか？
ふわっとした質問で恐縮ですが、頭にピコンとでてきたことを教えてくださいませ。"

Ａ読者の反応でしょうか。
このネタだったらこういう反応が来るかな？
これが伏線になるけど、どのくらいの読者が気付くかな？
……みたいな。

Ｑ幼児と乳児を育てているのですが、小説を書いたり下調べしたり、家事や仕事と育児の合間に上手く入れ込むことが難しいと感じています。お子さんが小さい時、先生はどのようにやりくりしていましたか？　時間の使い方が知りたいです。
Ａ私は子供が幼稚園に入ってからの暇な時間を利用して小説を書き始めたので、乳児を育てながら執筆の経験はありません。子供が幼稚園に行っている間と夜寝かしつけた後でした。
子育てで体力と健康をガリガリ削っている時期に無理は禁物です。無理をしすぎると本気で後に響きます。
健康優先！

Ｑキャラクターの容姿などは、イラストレーター様やコミカライズ作家様が新規にキャラクターを描き起こされる前に先生の脳内である程度、イメージや映像として出来上がっているのでしょうか？
Ａ基本はお任せです。本編の描写からズレていなければＯＫとしています。とはいえ、フェルディナンドは資料をいくつか送りましたし、アウブ・アーレンスバッハなどイメージ写真を準備したキャラもいます。
「ハンネローレ」の主要キャラであるケントリプスとラザンタルクはコミカライズに際して椎名さんのキャラデザが欲しくて、目とか髪型を組み合わせるPicrewでキャライメージを作りました。
アニメの現場から「できればキャライメージが欲しいです」と言われて、インク協会長のヴォルフやブロン男爵はPicrewで私が作ったキャライメージが元になっています。

Ｑ『本好きの下剋上』の執筆するまでにどのくらいの期間、準備をされたのでしょうか。
Ａ以前に考えていた設定を流用している部分もあるので、正確とは言えませんが、大体半年くらいですね。GWに図書館で資料漁りしていて、9月に連載を開始したので。

Ｑ『本好きの下剋上』を執筆するまで、どのくらいの期間小説を書いていたのでしょうか。
Ａ中学の頃に友人達とリレー小説を書き始めて、高校＆大学時代は書いていました。
就職、結婚、出産で趣味に没頭する時間がなく、子供が幼稚園に行くようになってから小説を書くのを再開しました。

Ｑビジネスの場においても、分かりやすく説得力のあるメールの文章を書くのに、いつも何度も読み返し書き直しをしています。適切な表現が思い付かないときのアドバイスを頂けたら嬉しく思います。
Ａメールの書き方がわからないならばビジネスメールの例題集で学習する。
表現だけならば類語辞典などで言い換えできる言葉を押さえる。
自分の意見に説得力が欲しいならば、理由や目的を明確にし、メリットとデメリットを提示し、先方の提案を拒否する時は代替案や妥協案を必ず出す。

Ｑ小説を書く事にした時に諦めたことはありますか？
Ａ特にないです。
ただの暇潰しから始まった趣味だったので。

Ｑこれから寒くなって鍋を食べたくなる季節になりますが、先生のお好きな鍋は何ですか？
Ａ中華だしかな？　鶏ガラスープをベースにしたお鍋でお野菜たっぷりに水餃子とかワンタンを入れるのが好きです。
鰹だしのしゃぶしゃぶも好きです。