小話
2015年02月21日 (土) 12:29
また間が開いてしまいました。
人が死ぬととても大変だと実感しております。
今日からまたしばらく家にも帰ってこられない見込みです。
待っていて下さる方にはご迷惑をおかけしております。
来月はまさかの引っ越しトラップが発動しそうで嫌な予感がするのですが……。

今回の小話は幼い頃の護衛騎士を置いておきます。
主要人物の中では珍しく平凡。

・子馬とばあさん
「ばあちゃん、また話を聞かせてくれよ」
 アヌートの片隅にある村でノイは祖母にそうせがんだ。
 家に帰るなり飛び込んできた孫に、祖母は嫌な顔一つ見せない。
「はいはい、私の|可愛い子馬ちゃん(リイプ)。
 今日はどんなお話をしようかねぇ」
 祖母はそう言ってノイの頭を優しく撫でる。その姿を見られる度に、母や姉にはおばあちゃんに甘えているのねとからかわれるが、ノイはこの優しい祖母に頭を撫でてもらうのが嫌いではない。
「なんでもいい」
「そうだねぇ、なら今日はティーツというお話にしようか」
 祖母は独特の節をつけて謡い出した。
「私は母と三人の兄姉と暮らしていた。
 父は羽を持つ人との戦で死んでしまい、唯一の兄は父の代わりに戦に行ってしまった。
 私は家で一人きりの男だったので、食料を手に入れてくるのは私の仕事だった。
 その頃の私はまだとても小さかったので、毎日少しの食料しか手に入れられなかった。
 それを見かねた狐が食料を分けてくれようとした。
 けれど、私は黒強竜の教えに反するからと断った。
 すると黒強竜の子がやってきて、『それはお前の苦難の代価だ』と言った。
 そこで私は食料を狐から貰うことにした。
 私たちの家族はそれで飢えから逃れることができたのだった。
 今はもう年寄りになったので、子供達に伝えておくことにしたのだ。」
 謡い終わった祖母が孫を見ると、初めて聞いた話に目を輝かせている。その姿を微笑ましく思いながら、祖母は再び話を謡い始めた。
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