『そして捧げる月の夜にーー』
2023年03月03日 (金) 22:27
明日(三月四日)の七時に更新します。
最近は週一投稿が持続できているので不要かも知れませんが、自分なりにここしばらくやってきた事の結果が一つ出る話なので、私事ながら記事を書かせて頂きました。


さて、本作『そして捧げる月の夜に――』は大航海時代を背景としていますが、その過去について作中では好き勝手に弄繰り回した歴史をそれらしく描かせて頂いておりますが、その後について語ったことはないので。

大航海時代と言えば三大発明、黒色火薬に活版印刷に羅針盤と、歴史の授業を聞いていれば誰でも知っていることですね。
ではその後は。
新大陸への進出と独立戦争を脇へ置くとしたら、次に目を引くものと言えば産業革命ですね。

最近ではyoutubeとかで歴史系の方が色々と面白い動画を出してくれるのでご存じの方も多いかと思いますが、世界で最初に産業革命を成し遂げた英国は、その背景にこの大航海時代での成功が不可欠でした。
農業革命によって国内の農作物生産高が向上したことも重要ですが、そもそも衣類大量生産した所で誰が買うのって話で、供給だけ向上しても無意味なんですね。
その供給先というのが、大航海時代以降、英国が獲得してきた世界の四分の一を占めるという植民地です。
征服した土地に無理矢理買わせたんですね。
現地で奴隷を使役しつつ作り上げた大規模農園で綿花を栽培させたり、工場を作って働かせたり。
産業革命の成功にはこの植民地が欠かせなかった訳です。
後続の国々は、特に欧州は新大陸から齎されたじゃがいもを始めとした、過酷な土地でも育つ食料が豊富に流入したことで人口を増やし、その人口でまた航海へ乗り出し、戦争をした。この戦争需要も結構大きくて、主に軍服を作ったりして儲けてたんですね。

人口を支える農業の発展、生産力の向上、下僕も奴隷も一杯作った。
これによってようやく欧州は中東を始めとした国々と対抗できるようになってきました。

まあでもオスマンとか化け物国家過ぎてしばらく勝てませんけどね。
彼らはシルクロードを持っていますから。

けれど大航海時代は海運力の向上を欧州へ齎した。
陸は初期投資が低く済みますが、一度動き始めた海での輸送にはとても及ばない。世界規模での分業を進め、バカみたいな効率を得たことで英国はすさまじい成長を遂げる訳ですが、まあこの話はこの辺りで。


本作では、大航海時代を扱うに際して、その負の面である奴隷貿易へもスポットを当てています。
奪われる人々、その中でも女性キャラのキツい状態に読むのを断念してしまわれる方も多いかと思います。元になった話でのことも含めて、そればっかりは誤魔化して進む訳にはいかなかったので、更に奥へ進んだ先でがっつり描写した話もありますね。
本作では往々にして奪われてきた女性キャラがかなり多いです。
時代を考えれば、まだまだ女性の参政権なんて概念すら無く、同国民ですら平気で売り飛ばすようなこともしばしば。

しかしこの大航海時代の後、産業革命時代こそ、女性の社会進出が始まった時代でもあるんです。

格差は大きく、扱いは悪く、過酷な環境であったとも伝えられています。
ですが、そうやって少しずつ前へ出てきた人達が居るからこそ、現代の地位があるものと思います。

とまあ、男女感の云々をつつきたい訳ではないので、そういう躍進部分を今は見ましょう。

最終章を前に、現在更新中の第五章では、ここまでやられ放題だった女性達の隆盛も描いていってるつもりです。


そんな訳で最新話より抜粋

『あの日、一度は消えてしまった私の中の炎を、彼の言葉が火の粉を散らして灯してくれた。
こんなにも、こんなにも何も出来ない私に、あの男はまた自分で立って走ってみせろと言ったんだ。
そんなの、全てを懸けて憎しみ続けるか、全てを懸けて愛するしかないじゃないか』

宣伝用に編集したものなので、本編ではまだ少し長くなります。


次回、彼女が走る。
どうぞご期待下さい。

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