週末詩㉓
2015年05月03日 (日) 21:35
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「ときは5月」


王様は寂しくて

驢馬は腹ペコで

私は恋しくて

死んでしまうのが5月です。


ホトトギスの咥えたアヤメが

海峡を渡り切れない風のせいで

ぽとり と

水面を揺らしてしまうのが5月です。


木陰のくらいところで

山吹が さこん と

這い寄ってくる光を

黄色いがい ぜんぶ

食べてしまうのが5月です。





「片手 (落ち穂) 拾い」


私の片手が落ちていたら、

拾っておいてください。

白い空の下で電車のドアが開きました。

遺失物係の青年は

伝言を伝えるために

私の片手が届くのをずっと待っています。


私の片手を見つけたら、

きっと拾っておいてください。

不安そうなおばあさんのよこで

向かいに座る少年を見ています。

どちらの手がなくなったのか

伝言に残しました。

片手のないあなたが

それでも私の落とし物を届けてくれるものと

遠く離れながら

ずっと待っています。

 
コメント全2件
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鯨峰 狩肴
2015年05月03日 21:44
「振動」って捉え方は、素敵ですね (*'▽')
インジュン
2015年05月03日 21:39
5月に対してここまで豊かに出来るのが羨ましいです
多分、俺の言う語彙の豊かさって、こういう生き生きとした振動なのやもしれませぬ