2015年05月03日 (日) 21:35
「企画参加中 リンク:http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/358467/blogkey/855164/」
「ときは5月」
王様は寂しくて
驢馬は腹ペコで
私は恋しくて
死んでしまうのが5月です。
ホトトギスの咥えたアヤメが
海峡を渡り切れない風のせいで
ぽとり と
水面を揺らしてしまうのが5月です。
木陰のくらいところで
山吹が さこん と
這い寄ってくる光を
黄色いがい ぜんぶ
食べてしまうのが5月です。
「片手 (落ち穂) 拾い」
私の片手が落ちていたら、
拾っておいてください。
白い空の下で電車のドアが開きました。
遺失物係の青年は
伝言を伝えるために
私の片手が届くのをずっと待っています。
私の片手を見つけたら、
きっと拾っておいてください。
不安そうなおばあさんのよこで
向かいに座る少年を見ています。
どちらの手がなくなったのか
伝言に残しました。
片手のないあなたが
それでも私の落とし物を届けてくれるものと
遠く離れながら
ずっと待っています。