幼馴染SS
2014年02月09日 (日) 21:56
こんばんは!
そろそろバレンタインですねぇ…
ってことで、ありきたりなバレンタインネタを、どうぞお暇潰しにm(_ _)m
時間軸は、中2の冬です。



ーーー

「ん、」

学校からの帰り道、わたしは唐突に奴に差し出された手をまじまじと見つめてみた。

「…ん?」

「…あかり、今日なんの日が知ってる?」

呆れた表情を浮かべる彼とその言葉に、わたしは漸く奴の意図に気づく。が、気付いたからと言って奴の手の意味はよく分からない。

「バレンタイン司祭が処刑された日」

「…あのさ、」

再び呆れたような顔をされたが、こっちが呆れたい。奴は先程から外れないわたしの視線を辿って、漸くわたしが何を見ているかに気付いたようだった。

「わたしはそんだけ貰ってまだ貰おうっていうアンタの強欲さに呆れ返ってるわけ」

「…毎年くれてただろ」

わたしの言ってること理解してんのかこいつ。
当然あると思っている彼の思惑通り、家に帰れば当然ある。父と兄と、そして今日友人に友チョコとしてあげたものと、同じものが。だがしかし、その紙袋に溢れかえっているいかにもなチョコたちを見てまで、わたしは別に奴にチョコをあげたいとは思わなかった。そう思って学校に持ってった分は奴の分を残すことなく友人に全部配ってしまった。

「…と言うことで、あんたにあげる分はない。わたしが食べとく」

「…いやどう言うことだよ。てかそれあるって言ってるようなもんだからな、食って帰る」

いつの間にやら家の前で、そして当然のように奴はわたしの後ろをついて家に入ってきた。奴にとっては文字通り勝手知ったる人の家なわけだが、ここまでナチュラルに洗面台に向かわれるとなんとなく面白くない。特にこういう、この後気の乗らない出来事が待っている時は。




「これ?」

わたしが手を洗っている間に、奴は冷蔵庫の中から勝手にわたしの手作りお菓子を取り出しやがっていた。

「こーゆうのって、女の子に手渡ししてもらえるから嬉しいんじゃないの」

思わず突っ込んでしまうレベルだ。そんな味見みたいに、皿に乗っかったものを勝手に食べる方式で良いのかこいつ。

「だって待ってたらくれなさそうなんだもん」

唇を尖らせてみてもまっっったく可愛くない。寧ろ鳥肌。

「分かってるじゃん、食うな」

それだけ言ってわたしも皿からつまんで口に放り投げる。うん、悪くない。ふつう。

「何でだよ、これ俺の分じゃねーの?」

不満そうな顔をするその意味が分からん。何こいつ。

「朝まではそうだった。けど今は違う」

とそこまで言って、あれこれって少女漫画的に言うと彼氏にヤキモチやく女子のセリフじゃねっと思ってしまった。
…いや違う、断じて違う。

「どういうこと?」

奴の顔も何やら不満げになりつつある。いや、だから君はどうしてそういう顔をするのか、意味が分からん。

「あのさ、あんた、あんだけチョコやらお菓子やら貰ってて、食べ切れるわけ?」

1日じゃ確実に無理だ。絶対無理。

「ただでさえ手作りばっかでしょ、日持ち悪いんだから、あっちを頑張って消費しなきゃじゃん」

我ながら真っ当な主張をしてる自信はあった。

「だからこんなもん食べてる暇ないでしょーが。寧ろあの山の中の一つを食え。わたしがこれを食べている間に、あれを食え」

そんなことをつらつらと言ってやると、奴はむっすーっとしたまま黙ってしまった。これはあれだ、理解はしてるけど納得してないってやつ。

と思ったら、奴は突然、皿に残っていたものを一気に食べ尽くしやがった!!

「っあーーーーー!!!!」

わたしの叫びなんて全く気にも止めず、ひたすら噛んで飲み干している。わたしが自分用に残しといた分もあったのに!それすら食べ尽くしやがった!!

睨むわたしを物ともせずに食べ尽くすと、奴はご機嫌ににっこり笑って言い放った。

「うまい」

ふっざけんなこのばかおとこが!!!

わたしは奴の腹に気持ちよくパンチを決めてやったのだった。






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大変お粗末様でした。あかりちゃんが何を作っていたのかはご想像にお任せします。
今週中に短編を上げたいな〜、っと思っておりますので、読んで頂けたら幸いです。
それでは!
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