七夕の夜に起こった奇跡
2017年07月08日 (土) 16:44
生存報告も兼ねて、久々の書き込みです。
以前の活動報告で「今年こそ電撃に応募する」と言っていた作品ですが、無事に一次選考を通過しておりました! 毎度の事ながら、自分の名前を探している間は心臓バックバクです。

わざわざ公式サイトで名前を探さずとも一発で確認する方法はあるのですが、通過者一覧から名前を見つけた時の感動は何よりも勝るので。逆に、名前が見つからなかった時の絶望も半端ないですが……。

今回の作品は非常に難産でしたが、最終的には胸を張って送り出せるものになったと思っています。とは言ったものの、応募した後で見直したら誤字脱字が大量に見つかって正直ヤバイかなという心配もありました。

誤字脱字のせいで落選する事はないと自分に言い聞かせていましたが、とにかくこれで一安心。この幸運を追い風にして、今年こそ受賞まで行きたいものです。


さて、ここからは明智烏兎の活動報告とはズレてしまうのですが、一応ご報告を。
我が弟“三鏡一敏”のデビュー作、『ヴァルハラの晩ご飯』(以下『ヴァル飯』)がついに完結いたしました! 全五巻です!

せっかくなので完結記念として、今まで語れなかった僕個人の感想みたいなものをがっつり語ってみようと思います。長文になりますので、興味のない方はここでお戻り下さい。

知らない人のために軽く説明しますと、『ヴァル飯』は北欧神話を描いた小説です。言わばラノベ版北欧神話。誤解のないよう念を押しますが、北欧神話っぽいラノベではなく、そのまんましっかりきっちり北欧神話を描いているところが味噌です。

そのまんま描いていると言っても、本家北欧神話とは視点が大きく違います。主人公が『セーフリームニル』という名前のイノシシになっているからです。ちなみにセーフリームニルというのは作者が考えたオリキャラではなく、ちゃんと北欧神話にも登場します。すっごい脇役なので北欧神話に詳しい人でも知らない場合がほとんどですが。

本家北欧神話は神様たちと巨人たちの戦いを描いた物語になっているのに対し、『ヴァル飯』は毎日晩ご飯として料理されなければならない運命を背負った“食材”の視点から見た物語になっています。

だったら北欧神話を描いた作品とは言えないんじゃないの? と思われるかもしれませんが、そこは心配ご無用。本家北欧神話の世界観や設定はそのままに『ヴァル飯』独自の解釈を見事に調和させ、絶妙なバランスで味付けしたのが本作です。

たとえば一巻の終盤で『ニーズヘッグ』というドラゴンが出てきますが、彼の登場が唐突だというご意見がちらほら見られました。
実はこれ、唐突どころかかなり周到に練られた展開でして、北欧神話に詳しい人からすれば「おお! そういう理由でニーズヘッグが出てくるなんて面白い!」と思ったのではないかと。

本家北欧神話だと、ニーズヘッグは世界樹ユグドラシルの根をかじっている蛇として登場します。しかしどうでしょう。皆さんはこの設定に疑問はないでしょうか。

ニーズヘッグがユグドラシルの根をかじっている理由は?
ユグドラシルの根をかじった事により、ニーズヘッグの身には何の変化も起こらなかったのか?
根をかじられたユグドラシルは何ともないのか?
そんなニーズヘッグを放置していてもいいのか?

これらの疑問全てに答えを用意し、セーフリームニルという主人公が持つ能力と立場を最大限に活かし、なおかつ北欧神話の世界観や設定を無視しないストーリーになるよう緻密に計算して作られたのが『ヴァル飯』なのです。

それは二巻以降も同様です。弟は本家北欧神話が抱える不明瞭な部分にざっくりと切り込んでいくスタイルを終始貫きました。

二巻では、神に捕えられた魔狼フェンリルやその親であるロキの気持ち。死ぬまで訓練しろと神に命じられたエインヘリヤルたちの気持ちにスポットを当てています。

三巻では、セーフリームニルと同じくらい存在感の薄い脇役・鹿のエイクスュルニルと鶏のグリンカムビのお話です。ちなみにポケモンのゼルネアスはエイクスュルニルがモデルになっているそうです。

四巻では、伝説の大英雄ジークフリート(シグルズ)と呪いの指輪アンドヴァラナウトの関連性を押し出し、セーフリームニルの失われた記憶や正体に迫ります。

最終巻の五巻では、黄金の女神グルヴェイグや光の神ヘイムダルが活躍する豪華なお話となっていますが、注目はロキとヘイムダルのアザラシ対決ですね。
これは決して作者の悪ふざけではなく、れっきとした北欧神話のエピソードでして……偉大なる二人の神がどうしてこんなバカみたいな事をする羽目になったのか、その顛末を渾身の力で面白おかしく描いております。

ちなみにもし六巻が出る世界線があったとしたなら、最強の巨人フルングニルのエピソードが中心になったとかならないとか……。一応五巻の中に伏線は用意してありましたし。ヤールンサクサが身籠った話とか。

『ヴァル飯』は北欧神話を知らない人でもコメディ作品として十分楽しめますが、やはり北欧神話を知っている人が読んで初めて真の魅力が伝わる作品になっていると思います。

なので、北欧神話を知らずに『ヴァル飯』を読み終えてしまった人は、北欧神話について調べてからもう一度読み直してみるとまた違った面白さに気付けるかもしれません。キャラ名をググるだけでも大分違うので、ぜひ。

という訳で今回はこの辺で。
二次選考の結果発表が出ましたら、また出没すると思います。その時には、今回以上に嬉しい報告ができればいいなぁ……。
コメント全2件
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明智 烏兎
2017年07月14日 12:55
怠惰の人さん、コメントどうもです!

一次通過くらいで喜びすぎたかな? と少し気になっていましたが、怠惰さんまで喜んで下さっているのなら問題なかったですね。

弟の件にも触れて下さり、ありがとうございます! 弟も喜んでおりますよ。
これからどんどん暑くなっていきますので、熱中症などに気をつけて下さい! ではでは~。
烏兎さんの作品の一次通過おめでとうございます!
勝手ながら、我が事のように喜んでおります笑
弟さんも完結お疲れ様でした。
で、いいんですかね?(笑)
ともかく!これからも応援しています!怠惰でした!