2019年01月01日 (火) 01:25
元日記念更新です
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リーン 天空フィールド
元旦。
新たな年が始まる日であり、その日の午前中のことを指す……丸一日は元日だ。
去年は自動制御による初日の出を拝み、眷属たちと寺社巡りや餅つき大会などに勤しんだが……今回は少し、別のことをやってみようと思った所存だ。
「と、いうわけでだ──飛べ」
「なんと理不尽な注文じゃ……じゃが、それがなんとも言えぬ興奮を……」
「黙れ。せめて人の役に立ててやるって言ってんだろ、タダ飯ぐらいのダメ銀龍。たまには世のため俺のために働け」
「ぐぅ……なんと素晴らしい響きなんじゃ。もう一声、もう一声所望する!」
足元で這いつくばって興奮するダメな女の尻を蹴り、そのまま地上へ蹴り落とす。
言葉で表記しづらい声を上げて落下していく女は、やがて一瞬その身を輝かせ──その身を巨大な白銀の龍へと変化させる。
『任せておけ、主様! 主様の願い、この醜いダメ銀龍が引き受けた!』
「……あっ、そういうのいいから。ほら、夜明けを国民が待ってんだよ。さっさと第一から全部の世界を巡ってこい」
『んっ……主様は儂の攻め所をよく理解しておるのう』
「速くいけ──褒美を無しにするぞ」
物凄い勢いでこの場から消えるソウ。
その軌跡は流星のように鮮やかで、正直綺麗に思えてしまった。
「なんか、腹が立つな」
《どうかされましたか?》
「(いや、なんでもない。それより、各地の準備はどうなってる?)」
《順調ですよ。全世界に眷属の配置が完了しております。あとはメルス様とソウ様が、すべての世界を巡るだけです》
今回の初日の出は、眷属全員に集まってもらいイベントを行うつもりだ。
年末年始は休みということで、特別ゲストにレイさんたちも招いてのお祭り騒ぎの予定だ……あれ|ら《・》が問題を起こさなければ。
「(ソウはスタンバイを始めた。これから、魔導で始まりを宣言する。その前からカウントダウンは欠かさないでくれ)」
《畏まりました》
「(子供たちも今日だけは夜更かししているからな……早く寝かせてやらないと)」
《誰も寝ないと思いますよ。メルス様が直々に行うイベントですし》
ずいぶんと忙しくなったもんだよ。
いつの間にか、こうした機会でもないとなかなか遊べなくなっている。
「(まあ、それじゃあ行ってくる)」
《お気をつけて》
アンとの連絡を切断し、“|次元渡航《ワープ》”でソウの下まで向かう……力場が強すぎて、普通の魔法じゃ直接向かえないんだよ。
『おお、主様か!』
「ああ、もういいから──時間だ。気をしっかり引き締めていけよ」
『うむ、心得た』
世界の端から俺たちはこれから、すべての場所を巡っていく。
きっと人々には、幻想的な光景に見えるだろう……たとえその片割れが、物凄く残念であろうと。
「さぁ、あけましておめでとう──今年もよろしくだ」
『よろしく頼むぞ、主様!』
約束の時刻となった。
ただ高々に告げようではないか、今年一年の幸福を願って。
「魔導解放──“黄金輝く日輪の生誕”」