2016年09月07日 (水) 23:34
まぁ、アニメの「トップをねらえ!」で
その造語の英語的な読み方が明示された
それが「イナーシャキャンセラー」なので
言葉の認知度としてはメジャーとも言えないが
SF作品では、それが明示されてようがされて無かろうが
まるで当たり前の様に存在している装置
それがイナーシャキャンセラー
日本語読みでは、『慣性中和装置』である。
それは、その運動系に存在している慣性を
突然0にするトンデモ装置である。
ところがこの装置、亜光速運動をする為には
無いと滅茶苦茶困る装置なのだ。
まぁワープに関しては、既にそれが現在の物理学では
説明不能の「魔法」なので、
『宇宙船に搭載されています』
という一文があれば、「ああそうですか」
の一言で、魔法的な認識処理をしないといけないのだが
亜光速運動に関しては、
(今、考証をして、どうやって亜光速の10%に到達する
推進力を得ればいいのか?という現実工学の方で
巨大なバリアが出てきたが、それに答えが出たら
それはフィクションではなく、リアル設計論なので
ただの工学論のサイエンスだから、そこはイオン推進系が
馬鹿みたいに大型になる画期的な構造が出来る!
ぐらいの誤魔化しでいいだろう)
アインシュタインの特殊党体制理論の半径
あるいは、加速過程は一般相対性理論で解けるという
事なので、サイエンス範囲の中にあるのだ。
まぁここがリアルのロケット工学に対して
光速の0.1%という速度は特殊相対論の範囲に入ったのか
それともまだニュートン力学の世界で扱えるのか
微妙な所なのだが
ともあれ、秒速300km/sとかいう
おかしな速度になると、制動距離というか制動時間が
計算上、3600秒(1時間)に8Gかけても、
止まれないとかいうシュールな計算結果になり
リアルな運動理論で計算すると、加速も減速も話にならない。
だからこそ、SFに出てくる宇宙船は
意識してようが、してまいが、イナーシャルキャンセラー
慣性中和装置を持っているのだ。
銀英伝なんかを例にすると、
そんな装置が存在していると描写していないが
ブリッジに提督達が仁王立ちしていながら
亜光速の加速して艦隊運動と戦闘をしているのだ。
ブリッジ内に、重力制御装置と慣性中和装置があると
暗にその表現で語っている事になる。
重力制御装置もまた厄介な装置なので
これは、当分にブン投げにするが、
先に何か逃げ道がありそうな慣性中和装置の方に
視点を絞ろう。
一見、「慣性中和装置なんて簡単なんじゃね?」
と思われるかもしれないが、
ところがところが、これ、ニュートン運動力学の全否定の装置なんだ。
つまり、物理学の全否定の装置になる。
慣性を時間をかけてゼロにする、ブレーキをかける
というのは、制動距離と呼ばれる自動車のアレなのだが
慣性中和装置とは、制動距離が0で慣性が無くなると言っている
そういうトンデモ装置である。
普通の運動は
m1v1 + m2v2 = m1v1' + m2v2'
と書ける「運動量保存の法則」に従い
これがニュートン力学の第2法則の、別の表記の仕方だ。
と同時に、運動というのは、何処まで言ってもこの法則から
逃げる事は出来ない、というのが物理学だ。
この運動量は mv = P と書くので、
p1 + p2 = p1' + p2'
と簡単に書く場合もある。
保存則とは、運動変化前と運動変化後で、
「この運動量Pの総量は絶対に変わりません」という
まぁエネルギー保存の法則の別の言い方である。
慣性中和装置というのは、何を起こしているかというと
m1v1 = m1*0
と速度v1で運動しているモノが、何らかの事により
速度0に何故かなりました、それも0秒で
と言っている装置であり、力学法則の破壊である。
m1v1 + m2v2 = m1*0 + m2v2'
ブレーキはv1を速度0にする運動だが
代償に制動距離あるいは制動時間と、その運動量を
m2V2'の方にぶっ込むという事で保存則を成り立たせているので
これが、現実的な慣性中和である。
これに対して、イナキャンは
m1v1 = m1*0
P1 = 0
(ただしP1は実数の有限値)
という、明らかにおかしな保存則を要求しているので
これは力学破綻している。
亜光速は、旧には止まらないのだ…
しかし、しかしだ…
出来るかどうかはともかく、運動量を保存するだけなら
ある方法で、方程式を組める事に気付いた。
m1v1 = m1*0 + hv/c
光にも運動量というモノが存在する
P=hv/c
という数式で表される、量だ。
つまり、どうやってやるかはともかく
一番重要な、エネルギー保存則(運動老保存則)を破壊しないで
速度を0にさせる方法として
本来の物体運動量を、光の運動量に移動させれば良い
という、数式の上でのマジックを使えばいいわけだ。
おお!これなら、イナーシャルキャンセラーが
まだ物理数学的には成り立つじゃないか!
いや、ブレーキに光って何ぞ?って感じだが…
ただ、出している速度をγ線にでも変換して
γ線を閉じ込めるとか言う、インチキ装置を考えれば
少なくとも、根論である、運動量保存の法則「だけ」は
守られる事になる。
いや、本当にそれだけで、
それをどうやってすんの?的な、工学博士の自分からの
手痛いツッコミはあるのだが…
わかりました。
>「SF読みのプロ」
怖っ……! こういう人たちは小説にでてくるトンデモ理論を目の前に出されたごちそうかみたいに思うんでしょうね。「よし、次の面白難題がでたぞ!」みたいな。
わかるようなわからんような……。
物理学マニア……日本にはいろんなマニアいますからね、前に天皇の生前退位のニュースありましたけど、あの映像に天皇の背後に置かれた壺とか置物とかが映ってたんですよね。それで、いつの時代のなんの焼き物だ、みたいなのがすぐ特定されたとか。
人間の知識欲ってすごい。
>「お前、普通に学会に理論論文出してる身やんwww
> 嘘でも、それなら、理論家らしく、大嘘理論つけやww」
こんなこと言われるなんて、博士レベルですごい人だったんですね。
そりゃ手を抜けないや。
でも、わたしはもっとSFって普通の人も楽しめるようにわかりやすい物語にならないかなあと思っているんですよね。
コアなSFファンが一定数いるのはわかってるんですが、そこにライトSFみたいなものができないかなって。