科学者としての2面対立
2016年09月08日 (木) 15:04
よもや、自分の科学者としての立場で
脳内闘争が起きるとは思わなんだ…
今まで、科学者サイドと物書き絵描きサイドでの
脳内対立は毎日の如くであったのだけども
科学者のポジが更に二分化して、
互いに互いのスタイルを批判し出すとは…

それは「理学」立場と「工学」立場の鬩ぎ合い

いや、学会に行くと、こんな同一人物ではなく
互いの学科で同じテーマ研究してて、たまに見る
互いの立ち位置からの相手スタイル研究の批判とか
それにかなり近いのだけども…

まぁ、それの題材が「SF]っていう
「そもそも、嘘やがな…」
という事で、互いの立場が対立するなんてね…

理学部サイドというのは、計算理論で現象を予想し
何が起きているのかを解析するのを至極としている立場

工学部サイドというのは、まぁ理論的によく分からない事が
残ったとしても(出来れば理論での補間はしたいが)
分からなくても、出来てしまえば、それはそれでいいじゃないか
という、実利主義が前面に出てくる立場
ぶっちゃけ、実験でパラメータ弄って装置がモノ作って
それが凄い現象起こしたら、「良くワカランけど出来た!」という
実験ドカタとたまに理学サイドから言われる立場
ちなみに俺は、一応、このサイドでの博士号持ちだ

まぁともかく、今の脳内対立は
「嘘物理学は、本当物理学の上に更に立脚する
 というスタンスはともかく、西暦8000年とか
 別の物理学が見つかっているだろう時代、
 (あるいは見つからなければ、銀河に広がる事は
  人類には不可能だろうという、現代物理の理論限界の壁の前に
  我々は太陽系に封じ込められる事になるのかもしれないが)
 現代物理が直面している物理学的な難問を
 物語のテーマにする事は、未来視的には滑稽なのではないか?」
という、SFを書くにあたって、
大前提が揺らぎかねない問題を下敷きに
そこから派生する問題で、理学意識と工学意識が
毎日の様に議論しているのだ。

それも、面白い事に、本来は逆の立場が言い出しそうな事を
逆の立場同士で罵り合うという形で…

例えばイナキャンを考えるに…

工学サイド:
「m1v1 = m1*0 + hv/c
 とか、こんな運動量保存、どうやって実現すんだよ!
 圧力光変換素子か!圧力光変換素子の様な原子構造が
 空間に出来るとでも言うのかよ!!
 どんな現象なんだよ!それ!!」
理学サイド:
「でも、超理論が存在してる世界だぜ?
 そんな超理論を真剣に考えるの? 有りもしない物理現象を仮定して
 読み手に『そんなのあるんだ!』とか思われたら困るジャン!
 「トップをねらえ!」みたいに、ブラックホール2つ作って
 事象の地平線領域を重ねて、タンホイザーゲートが出来るとか
 大嘘というか、一般相対性理論では答えが出て来ない領域を
 2つ重ねて、超現象起きますとか言い出したら、
 魔法でも何でもアリじゃん!」
工学サイド:
「でも、作中で既に書いてる描写、どうすんだよ!!
 今まで書いてきた内容でも既に、「こんなのどうやってやるんや!」
 ってのばっかりで、挙げ句に、そんな装置をどう作るのか
 思わず考え込んでる俺が居るんだぜ!?
 何だよ!MBEの様な真空引きが要らずに、
 流体制御だけで、分子構造が編める場の運動って!!ww
 場はどっから出てくるんだ!?
 ミノフスキー粒子よろしくの、御都合アイテム、複素結晶か!?
 っていうか、自分で言い出したギャグはともかく
 高階偏微分方程式の物理現象が存在したとして
 それが、エキゾチック原子とか、怪しい理論原子と、
 何も結びつかないんですが! 
 なんだよ高階の場は低階に対して干渉不能って!
 それ、量子力学の状態密度の話でしょ!?高階偏微分方程式関係ない!w」
理学部:
「だって、どいつもこいつも、次元、次元、次元、次元
 余剰次元の事ばっかり言いやがるんだもん!!
 数学的には、現実の空間二階、時間二階の偏微分方程式より
 空間高階、時間高階、挙げ句に非線形方程式になると
 どんな答えが出てくるか、さっぱりワカランのだぞ!?
 ソリトン波が、三階偏微分方程式だって、二階以上があるって分かったんなら
 四階偏微分方程式があってもいいじゃないか!!
 物理数学浪漫を盛り込みたいんだよ!!
 次元増やすなんてのは、本職じゃなくても出てくる発想だけど
 微分方程式の階数を増やすのだけは、本職じゃないと出て来ない発想だろ!?」
工学サイド:
「そんな物理現象が、観測されたらそれでもいいよwww
 三階偏微分の物理現象が存在しただけで、驚いているのに
 四階以上とか、あるんかよwww
 単純に差分方程式の、差分進度が深くなるから
 スパコンの計算量が、ビル並にでかくなりますね!って
 スケーラリビティの必要性 → 思考天体 ってしたいだけだろww」
理学サイド:
「天体コンピュータ、ええやんww
 デススターとか、天体を兵器にするんなら、
 コンピューターも天体にしようぜww
 ミサイル一発でぶっ壊れる様な、バカチン設計の天体ですがww」 
工学サイド:
「それ、工学サイドの俺のツッコミですよww
 あんな、動力炉やられたら、天体全損するような設計
 ありえないwwww
 そんな土建設計したら、絶対に怒られるwww
 動力部は多数分散しないと、あんな天体兵器、絶対に成り立たんww」
理学サイド:
「ともかく、なんでお前の方が、一般相対性理論を
 やろうとかしてるわけ? それ、俺の領分なんですけど!?」
工学サイド:
「だって、ここに書かれている謎のSF装置
 どうやって作ればいいのか、さっぱりわかんねーんだもん!!
 いや、方法論としては「場」の制御こそが全てなんだけど
 問題なのは、電磁気で作る、荷電場と、重力場で
 何故、重力場の方が空間支配力が強いのか?
 何故、重力定数は、あまりにも小さいのか!?
 もう、こうなったら、リサランドール先生の「ワープする宇宙」
 を読むしかねーだろ! もう読んでるけど!!」
理学サイド:
「いや、だから、それ、俺の領分www
 どうやって装置作るか考える為に、宇宙物理学を勉強するのは
 本末転倒じゃね!? そりゃテンソル解析とは
 結局、一度も砲火を交えずに、今の所、現役を退いてるけど
 こんなSFを書くためだけに、テンソル解析とか勉強すんの!?
 もう40歳よ!? 若い頃の様に、頭の回転すると思ってる!?」
工学サイド:
「でも、テンソル解析の勉強からは、何か逃げた様な感じがして
 未だにモヤモヤすんだよ!!
 そりゃ、研究者なんて、自分の研究部門範囲の勉強以外
 する必然性が無いのは分かってる!!
 量子力学系の挙げ句に材料なんて、ドカタ研究に所属してたんだ
 一般相対性理論とか、迂遠のあっち側だったし、
 結晶軸にかかる応力歪みテンソルの話も、俺の研究からは遠かった!!
 でもな、テンソルはそこに居て、そこに居たのに出会わなかった…
 それが、どうしても悔しいんだよ!!」
理学サイド:
「いや、やるしにてもテンソル解析は、俺の領分やろが!!
 なんで、工学部のお前が悔しがってるんだよwww
 それも、勉強したい理由が、SFを書くため!?
 本末転倒って言葉、通り過ぎてない!?」
工学サイド:
「テンソルから逃げて、このまま死ぬんか!?
 素粒子物理学が迂遠の彼方なのは、もう、仕方ないとしよう!
 でも、テンソルから逃げたという気持ちのままで
 Sfなんか書けるのかよ!」

物書き・絵描きサイド
「お前等、2人は無茶を言っている」


コメント全3件
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津月あおい
2016年09月08日 20:22
>これ、コメントに対して、絶対にコメント返しするのに気が効かないシステムですよね…

同感です。
こちらの活動報告は非常に興味深いので、通知がないシステムでも無問題です。お気に入りにも登録しましたし、かならず確認しにきます!
もし、不安でしたらメッセージという機能もあるので、どうしても返信したいときは(わたしに限らず)メッセージを送るといいですよ。

それより、あっちこっちにコメントしてしまってすいません。
知的好奇心がかなり刺激されてしまいまして……。感情のおもむくままに書いてしまいました。
ともあれ返信していただけて嬉しかったです。

一周まわって原点回帰っていうの、いいと思います。
わたしは軽い発達障害があって、ひとつのことに熱中してしまう癖があり、大学受験はほぼ壊滅的だったんですけど、もしもっと頭がよかったら天文学とかに詳しい物理学部行きたかったですね。
高校の時は「宇宙研究同好会」(有志のサークル)に入ってました。

宇宙や人間の体って神秘です……それを解き明かす物理学、物理工学も素敵ですね。
>>津月あおい
いや、あおいさんには関係ない文句ですけど
これ、コメントに対して、絶対にコメント返しするのに
気が効かないシステムですよね…
そもそも、コメントにコメント返しした事さえ分からないし…

多岐にコメントされてるんで、ここで一纏めに。
まぁ私の博士レベルは対した事無かったんですが、
研究分野が最近ノーベル賞が出たアレに関係してた内容でしたんで
ぶっちゃけ、ノーベル賞を受賞したあの先生も、
応用物理学会での同じセッションで、200人以上詰めの大講義室に座ってた様な
(つか、あの先生、ノーベル賞取ったんだなァ…的な、今思うと)
というよりも、オイラではないですが、元ウチの研究室の
その当時の准教授(今は教授)の先生とノーベル賞取った先生が、
発光機構の解明研究で研究成果の内容に関して討論をしてたのを
応物の発表会で見てたとか、
リアルに名前出すと、シャレになってない人の名前とか出てくるんで
ギリギリまで、身の内は明かしませんが
ここで、こんな事してるのが、身内にバレルと
同じ研究室の先輩博士か後輩博士、どころか、他所の大学の博士や先生まで
面白がって見に来るかもしれないんで、

『そういう人が読んで笑える』

内容にしたいナァと…
身バレしたら…

なので、使ってる用語の端々が、業界用語を文字ってクスッと来る様な
(複素結晶とかww 「そんなSF装置なのに、結晶なの!?w」みたいな)
感じとか、あるいは「そういう研究は未来的には面白いかもしれない」的な
昔の同業者が見て、面白く感じれる様に作りたいナーと思って
書いているんで、SF好きが良く目にする単語以外で、
「聞いた事無い用語だな…」
みたいな、専門業界用語も、たまに出てくる予定で(^^;

まぁ…西暦8000年に、MOCVD装置が出てきたらギャグなんで
CVDはともかく、MOは流石に出せませんが…
(現代では主力なのに…。・゜・(ノД`)・゜・。)

ともあれ、そういう元職の都合とは別途に
高校の時に、理学部に進学するか工学部に進学するか、迷った時期があり
その迷いが、工学系で一周期回ってしまうと、もう一度自分の中で
原点回帰で、理学的な「それ何に応用するの?」的な
好奇心型の学問分野も、面白いよなぁと…

これは、自分達の分野に物理限界が見えてしまって
「これから、AlNを極めるか?ダイアモンドを極めるか?」
という究極の半導体の研究テーマと同時に、もうそこから先に「原子が無い」という
物理限界が見えており、ダイアモンドこそが最後の場所なのか?
それ以上を目指すのなら、何百年単位の研究になろうが
超原子の研究でもするしかないのか? 的な気分になったんで
理学部的な原点回帰もいいのかな、と…

そんな夢を語ってみたい気分なんです
津月あおい
2016年09月08日 16:52
またお邪魔しました。

>ちなみに俺は、一応、このサイドでの博士号持ちだ

やっぱりしゅごい。
わたしは理学部より工学部のほうが好きですね。なんか知んないけどできた、っていうやつにロマンを感じます。

>現代物理が直面している物理学的な難問を
 物語のテーマにする事は、未来視的には滑稽なのではないか?

未来においては滑稽でも、当時の人はこう考えていました的な資料価値になるからいいと思われ。そして、現代の人にはこのSFを解析して実現してほしいというメッセージになるのでは。

>有りもしない物理現象を仮定して
 読み手に『そんなのあるんだ!』とか思われたら困るジャン!

たしかに実際の事象に近いことから派生させると変なツッコミが入りやすくなる気がします。それよりは、トンデモに次ぐトンデモ理論で煙に巻いた方がいいかもですね。

>だって、どいつもこいつも、次元、次元、次元、次元
 余剰次元の事ばっかり言いやがるんだもん!!

わたしも余剰次元好きですね。
というか来年あたり書きたいSFはそれを利用するつもりでした。
ロマンあるんだなあ、これが。

>そんな物理現象が、観測されたらそれでもいいよwww

なろうで最近「ツジセイゴウ」さんという作家さんを知りました。彼の作品もいろいろ面白いんですが、その作品の一つに、「雪の結晶が6角形なのは10次元のうちの残りの6次元(わたしたちの次元は4次元のため)の影響をうけているからだ」という発想がありました。
そんで、それを数式で定義するためには「ルートに変わる別の新しい数学記号を生み出さないといけない」とか。面白いなあと思いました。良かったらご覧になってみてください。

>「結晶軸にかかる応力歪みテンソルの話も、俺の研究からは遠かった!!
 でもな、テンソルはそこに居て、そこに居たのに出会わなかった…
 それが、どうしても悔しいんだよ!!」


ここ熱い。胸熱。
なんで、一瞬そういうのに苦悩する科学者が主人公の物語とかできそうだなって思いました。

まとまりない思いつきのコメントですみません。
またお邪魔します。