2025年01月31日 (金) 00:47
連載していた「ナイルの風に吹かれて」、一昨日完結いたしました。
お読みくださった皆様、Xで応援してくださった皆様、ありがとうございました。
ところで、今回小説に盛り込んだエジプト文明ですが、皆様にご説明しておかねばいけないなと思い書いています。
蘇生介や豊子が大学で講義しているエジプト文明については、様々な資料を読んで忠実に書いたつもりですが、問題は第七話に登場してくるメリトアテンについてです。
メリトアテンはスメンクカーラー王の妻であり、ツタンカーメンやアンケセナーメンの姉であったのは事実ですが、ツタンカーメンの乳母のマイアだったということと、スメンクカーラー王の亡き後、ネフェルネフェルウアテンとして王になったということも、あくまでその可能性があったということで事実かどうかは判明していません。
ネフェルフェルウアテンは、メリトアテンの母のネフェルティティだったかもしれないという説もあります。
メリトアテン、ツタンカーメン、アンケセナーメンの父であったアメンホテプ4世(後にアクエンアテンに改名)が、当時の国家神であったアメン神を信仰する神官勢力を抑えるために、アメン神からアテン神を信仰するように宗教改革を行いました。
しかし、後のツタンカーメンの時代には、アテン神からアメン神信仰に戻っています。
ツタンカーメンの死後、親戚であった宰相アイが王位につきますが、アイの死後、アイが後継者に指名していたナクトミンを破って将軍ホルエムヘブが王になります。
ホルエムヘブは、アクエンアテンの父であったアメンホテプ三世の時代から仕えており、自らをアメンホテプ三世の後継者だとし、アクエンアテン、スメンクカーラー、ツタンカーメン、アイの四代の王の存在を抹殺しています。当然、アクエンアテンの娘であったメリトアテンのことも詳しい記録は残っていません。
第七話で黒木猛が豊子が好きだったツタンカーメンに関する重大なものを密輸して、しかもそれがファラオの呪いに関するものだったということにしたかったので、誰か適当な人物がいないかなと思って探していたらメリトアテンに行きつきました。
乳母のマイアの墓は見つかっており、後に再利用された後、火事になって煤がついてしまっているのは事実です。しかし、第七話はフィクションなので、マイア=メリトアテンと仮定し書いていますが、実際にはメリトアテンのミイラや木棺は見つかっていません。
読んでくださった皆様が混同しないようにと思って書かせて頂きました。
しかし、エジプト文明と一口に言っても、約三千年も続いた文明で、考えるだけでも気が遠くなるなと思います。少しかじっただけですが、人間味のある文明なんだなということが学べて、自分にとって凄く有意義だったなと思いました。