2025年04月15日 (火) 08:29
こんにちは。名紗すいかです。
まずは『妻の隠し子』 のSSをどうぞ!
【シリウス視点】
「おめでとうなのー」
「……いきなりどうした?」
出会い頭にアナにそう言われたシリウスは、真剣に首を捻る。自分の記憶では、直近に祝い事はなかったはずなのだが。
アナはまっすぐな瞳でシリウスを見上げ、ジェノベーゼを抱いていない方の手をずいっとこちらへと向けると、そのまま小さな指を四本立てた。
「よっつ」
「よっつを覚えたのか。いい子だ。だが、アナがよっつになるのはもうしばらく先だから、まだみっつだ」
四本立てられたその小さな指のひとつを折り畳ませると、アナはきょとんとしてから、ふるふると首を振って再度指を立て直した。
「ちがうのー」
「違うのか?」
「よっつなの」
「?」
どうやら年齢のことではないらしい。
「よっつ。よんかん」
「ああ、『ララとブラウニー』シリーズの4巻が出るのか?」
「ららはねー、まだなの」
「まだなのか……」
続きが気になっているので、早急に続巻を出してほしいのだが。
そんなことを考えていると、アナが突然、「しゅーごー!」と謎の合図する。
するとサフィニアを先頭に、にこにこした執事長や使用人たちがぞくぞくと現れ、全員アナの後ろに整列すると、その場で拍手をしはじめた。怖い。
新たな宗教の誕生だろうかと、軽い恐怖を内心味わいつつ、絶句という名の静観をしていると、アナが「さん、はいっ!」と指揮者のように片手を振り、それに合わせて全員が声を揃えて言った。
「「祝⭐︎4巻!!」」
「……」
相変わらず言葉を失ったままのシリウスをそのままに、サフィニアと執事長が事前に用意していたらしい花びらを宙に投げて散らす。
色とりどりの花びらが舞う様は綺麗なのだが……。
(室内……)
掃除するのは自分ではないので構わないが……と、花びらが積もっていく床へと目を落としてから、アナへと戻す。
花吹雪を背景に、アナはジェノベーゼと一緒にどこかへと向かって手を振っている。
「みてねー!」
「……」
最近なかったので油断していたが、例の謎の告知だと今更ながら気づいたシリウスだった。
……はい。というわけで、『妻の隠し子 〜白い結婚をした私と愛妻と愛娘(時々、旅するぬいぐるみ)〜』が配信されます! 4巻!
コミックシーモア様 4月25日 特典SSつき
その他書店様 5月18日
まさかの続編。びっくりです。
シリウスがじぃじに会いに行くことをアナと約束していたので、そのあたりのところを書き下ろしました。
もちろん、こちらに載せている番外編部分も入っております。第二王子の絵画教室までですね。
今回もイラストは鈴ノ助先生です!
アナとジェノベーゼ、おそろのポンチョでかわいすぎる!
コメディ担当シリウスと、シリアス担当サフィニア、そしてかわいい担当のアナとジェノベーゼ、更には突っ込み担当の王太子と、安定の執事長。いつものメンバーが揃い踏みです。
エスターとユーリの出番がなかったことがちょっと心残りですが、シーモア特典SSにはユーリが出演しておりますよ。
そして今回、書き過ぎてしまいまして、なろうに載せている番外編を含めて10万字くらいの予定が、まさかの書き下ろし部分だけで10万字近くに。
文字数が結構際どくてハラハラしましたが、なんとか1冊に収まりました。
特に事件とかは起きないのですが、楽しんでいただけたら嬉しいです!
ありがとうございます!!
楽しみにしていただけて嬉しいです……!
また笑っていただけたらと思います!
告知を含め、基本的にシリウスだけなにも知らされないバロウ家です。笑
シリウスが家にあまりおらず、話し合いの場にいないせいではあるのですが、アナがシリウスを驚かせることを楽しみに生きているので、家にいても知らされなかった可能性も。笑
アナの後ろにずらっと並んだ大人たちが、にこにこ拍手していたらちょっと宗教みがあってびっくりしますよね。
アナが教祖だと、団体名には必ず『おうましゃん』が入りそうです。
『あなのかわいーおうましゃん』教。
ジェノベーゼが目をぴかっとさせて、すいーっと空を飛ぶだけでたくさん信者さんを獲得できそうです。
コメントありがとうございました!