2017年07月08日 (土) 14:51
お祈りメールに心が折られ、研究に追い詰められ、親が家に常駐しているせいで煩悩を断たれ、めっきりR18番外編を書く時間を削がれている今日この頃。
全速力とか言っておきながら一ヶ月近く更新できていないこの状況に、お茶を濁さずにはいられません。というわけで裏設定紹介コーナーです。
今回は本編において蛇よりも扱いの酷かった龍、Sランク魔物とは名ばかりの活躍しかしていないウロボロスについて紹介していこうと思います。
本作におけるウロボロスの外見はトカゲに翼が生えた、モンハンで言うところのミラボレアスのような『ドラゴン』そのものです。
ですがドラゴンのイメージとは裏腹にその牙、爪、鱗といった硬い部位は、その筋肉量に対して非常に脆い作りとなっており、岩に当たる、地面に擦る、といった些細な原因で常に何かしらの傷を負っています。
そんなウロボロスの最大の特徴は、何度殺されても蘇る復活能力――ではなく、そうであると錯覚してしまうほど高速で行われる世代交代にあります。
ウロボロスの繁殖は単体生殖によって行われ、その卵は隊内で孵化するという、いわゆる卵胎生の形式を取っています。しかしウロボロスの体内で孵化した幼体のウロボロスは母胎の体外に出ることはなく、その場で幼生同士の共食いを始めます。
そして共食いの相手が居なくなると今度は母体の体内を食い荒らし、母体の細胞をほぼそのまま取り込む形で幼生は急速に成長していきます。その際に母体の欠損部位を自らの同部位で補うことで母体を生存させ、最終的には母体の鱗の下でそっくりそのまま入れ替わる形で成体となります。
幼生の孵化から共食い、母体の捕食、成体への成長、という世代交代にまつわる一連の流れにかかる時間は最短で10分程度であり、また幼生が成体となる以前から単性生殖は開始されます。つまり外部からは1体に見えるウロボロスは、その実マトリョーシカのように幼生が重なり合っているコロニーのようなものなのです。
つまり蘇生、復活、再生のように見える不死性は、実際の所「一番表層にある成体が死んだら(あるいは部位欠損したら)、その内側にある幼生が成体(補完する部位)となり、活動を継続している」だけだということです。この生態から個体の寿命は非常に短く、爪や鱗は基本的に使い捨ての急造品となります。
しかしこの急速な成長、世代交代に必要となるエネルギーは膨大であり、それ故にウロボロスは常に飢餓感を覚え、あらゆるものを捕食しようとします。また内部から捕食される苦痛により凶暴化もしており、目につく全てのものは捕食対象か破壊対象のどちらかに分類されることになります。
外見同様、その生態をモンハンで例えるのであれば「常にフルフルベビーに体内を食い荒らされているイビルジョー」ともいうべきものであり、外部への攻撃性は他に類を見ないほどです。
しかも鱗や牙といった部位に素材としての魅力が少なく、冒険者が率先して狩ることも少なく、またその死体も非常に腐りやすいために食肉としての価値もほとんどありません。つまり、その危険度に対して放置されやすい魔物なのです。
攻撃性の高さによる生態系への被害は計り知れず、また前述の生態により一度の戦闘でトドメを刺すことの難しいウロボロスは、その被害範囲の広さと、被害の持続時間、自主的な対処に任せることができないなどといった観点から、その瞬間的な戦闘能力に似合わないSランク――国家が優先して討伐するべき魔物――の魔物として登録されることになったのです。
ちなみにジュゼがこのウロボロスにどう対処したかというと、戦闘中に隙を突いて死霊系催眠魔法「スリーピィ・ホロウ」を使い、膨大な魔力で眠らせ続けるという手法で事なきを得ていました。が、ロッシーニュが丁度良い肩慣らしの相手だとみてウロボロスに攻撃を仕掛けて叩き起こし、本編のような状態になってしまったようです。
次回は4章の設定に関わる「ゴブリン」について紹介することになると思いますが、もしかすると本編中で語られることにもなりかねないので未定です。
多分ですが、見た目以外はかなりキワモノな設定だと思います。
面白いと言って頂き嬉しい限りです。ちなみにウロボロスのコンセプトは「どうしてそんな進化をしちゃったの」です。
双子(幼生時の共食いで二匹以上残った場合)の場合だとその一世代だけ双頭のウロボロスとなり、互いに食らい合って一匹に戻る確率と、そこから分裂して二匹の別個体になる確率が大体7:3だという設定があったり。