活動報告
2019年05月13日 (月) 00:19
 まず始めに……後日、と言った割に完結後のゴタゴタにまみれて活動報告が遅くなったことをお許し下さい。感想を返す度に涙目になってしまって時間がかかってしまっただとか、完結後の謎の優越感に浸っていたとか色々な理由はありますが、結果として待たせるような形になってしまったことをお詫びします。

 さて、先日私平谷の連載処女作である【不定形な呪術騎士は『VR』を探し求める】が無事完結となりました。百三十日もお付き合い頂いた皆様に言いたい感謝は山ほどもありますが、流石に活動報告で言うのは控えておきます。

この活動報告で話したい点は二つです。
 一つ目は、本編で語ることなく、更には後書きにすらも乗せていなかった裏話というか裏設定を幾つか。
 二つ目は、これから『VR』の次回作をどうするかについてのお話になります。

 では一つ目の話題から。本編では流れを意識した結果、一切触れることなく文字通り流された設定を幾つかお話しします。

 まず始めに、道月結、という作中においての中心人物の名前についてです。これは、気がついている人も多いでしょうが、彼女の名前はライチがゲームで救ってきたNPCの名前になっています。

道→ロード 英語で道。
月→セレス 月の女神セレネを一文字変えただけ。
結→リエゾン フランス語で『仲介』『連結』などの意味合い。

続いて、リエゾンとリアンの名前についてです。
 リエゾン・フラグメントとリアン・ディブリスの両者の名前は、実はほぼ同じ意味です。これは知っている人も居ますかね……?

リエゾン→上記の通りの意味。
リアン→フランス語で『絆』『結び付き』などの意味合い。

フラグメント→英語で『破片』
ディブリス→フランス語で『破片』を意味するdébrisから。

 二つ合わさって結ばれる破片という意味になりますね。実はこの結ばれる破片、というフレーズは本編でかなり使っていますし、なんなら第八十部でそのままサブタイトルにしています。

コープスパーティーの面々の名前の由来は結構安直です。

カルナ→言わずもがな本名。かつインドで不死身の英雄である『カルナ』から取っている。本人は意外に気に入っていたり。

シエラ→イタリア語で山脈やノコギリという意味。

コスタ→イタリア語で海、海岸という意味。

双子は二人とも正反対な感じですね。

続いてワールドボス達の名前の由来をざーっと説明します。

テラロッサ→間帯土壌の一つです。石灰岩でできた赤い土壌で、実はあまり肥沃ではないです。

レグル→スピカ繋がりで星のレグルを想像した人が多いかと思いますが、違います。実際はテラロッサと同じく間帯土壌の一つである『レグール』が由来となっています。玄武岩でできた黒い土壌で肥沃です。

スピカ→その名前の通り乙女座のスピカです。

アイゲウス→ミノタウロスを打ち倒した英雄テーセウスの父であるアイゲウス王から取りました。アイゲウス王はエーゲ海の由来となっており……説明すると長くなりますが、要約すると息子を失ったという勘違いの果てに絶望し、彼は海に身を投げてしまいます。

アドニス→女神ペルセポネーと女神アフロディーテとの間で揺れ動き死んでしまった神話の美少年アドニスから。

登場したキャラの名前の由来は大体こんな感じです。

次は裏話を……。

 まず始めに、名前の由来をみてもらえれば分かるでしょうが……『不滅』のテラロッサと『破滅』のレグル……実は名前が逆なんです。私が疲れていたせいか、致命的なミスをやらかし……初登場で堂々と『不滅』のレグルを反転させてしまいました。

 不滅なのに枯れた大地。しかも黒のイメージカラーで青い目なのに赤土。
 破滅なのに肥沃な大地。しかも真っ白な肌で赤い瞳なのに黒土。


 次に……実は拙作のプロットを組み上げ始めたのが二年ほど前なのですが、ほんの半年前までは主人公のライチが

『土属性速度極振りで戦場を駆け巡る』

といった現在と真逆のキャラでした。探し求める『VR』を手に入れるために東奔西走し……というのを考えて、これではどこかから丸パクリしたみたいじゃないか、と思いきって人外で闇魔法と呪術を使うVIT特化騎士にしてみました。
 今思えば速度と土魔法全振りでどうやってメルエスや月紅を越えるのか……。

 続いて、本編では語らなかったカルナ……『明坂香留菜』について。
 いつも丁寧な口調なカルナですが、それはリアルでの教育の賜物。拳で敵を砕き、暴れまわる戦闘狂のフレイムゾンビ……実はリアルでの香留菜は三度見する位のガチガチお嬢様です。
 政治家の父と有名企業の一人娘の母との娘……いつも大切に育てられ、リアルでお茶会なんてものを開く淑やかなお嬢様……という表の自分に疲れ、執筆とゲームでストレスを発散し始めました。

実はお互いのお父さん経由で鏑木に会った事があります(小声)

 あと、めぼしい裏の設定といえば……シエラがコープスパーティーの中でも一番年上って事くらいですかね。実家の豆腐屋を手伝いつつ大学四年目です。

年齢順にすると……シエラ<コスタ<ライチ<カルナですね。

 最後に……実は本編では一ミリも触れず、裏に流された一文があります。第八十八部にて、リエゾンの過去に触れたテラロッサが放った一言。

「『彼』も間違いを犯すことがあるのね」

 最終話まで見た皆様ならば分かるでしょうが、鏑木が求めた『VR』……それを、実はリアンとリエゾンの二人は持っていたのです。文字通り、全くのイレギュラーながら産み出された完全なる偶然の『variant rhetoric』。彼が追い求めたものの完成形が、既にあったのです。

 しかし、ゲーム世界の時間を何千倍にも加速させ、NPCらの成長を促進させていた鏑木の目には留まらず、二人は離ればなれになってしまいます。それを知ったテラロッサが放ったのが上記の台詞です。

 ……もしかしたら、鏑木が二人に気がついていた場合……このゲームは始まらなかったかもしれませんね。


 さて、散々に設定を吐いてきましたが、これにて一つ目の話題はおしまいです。
二つ目……拙作の次回作はどうするのか、というお話です。  

 私個人では、あまりにも綺麗に終わったので蛇足を引かずにこのまま完全に幕引きでも良かったのですが……存外、続きを求める声が多くて驚きました。確かに、最終話でばったりと全てが終わるような感覚を消したくて、彼らはこれからも生きていく、という形にしたのですが……。

 目を瞑って考えれば、あっという間にライチ先導するキャラクター達が一斉に暴れまわり、様々なイベントが生まれていきます。

 非常に低レベルなライチとロードの熾烈極まる恋愛戦争。ひそかに道月の左手薬指を狙う鏑木と、それを影から笑顔で見守る八崎。
 身バレしたカルナの困惑と、年上過ぎるシエラに愕然とするライチ。堕落の獣に滅ぼされた国を想うメルトリアスとオルゲスの二人と、不穏な気配を察知するメラルテンバル。

 そして、レオニダスがその槍と盾を手に取って戦地へ赴くきっかけとなった……『湖の聖剣』と、墓守兼死神として本格的に動き出すロード。二人の行く先は西の樹海……。
 目覚める竜王。笑う魔王と、剣を抜く騎士団。全てが収束した時に浮かび上がる……『世界一美しい証明』とは。

 ……と、こんな感じになりますね。確実にこれを綺麗に整えるには拙作と同じくらいの労力が要ります。プロットだけで何日掛かるか……。流石に第二章は八崎が考えた『誰でも遊べる』ゲームですので、ライチが突っ走って解決したりはできないのです。
 となるとストーリーを完結させるのに時間がかかり……後日談程度なところで切れば中途半端な駄作。伸ばせば拙作を越える超大作になってしまいます。

 とはいえ、考え付いてしまった事は事実。……なんとか、書いてみることにします。流石に書き溜める時間は欲しいですが、書くと決めたら書きましょう。その時は別の作品として出会うことになるでしょうね。
 『蛇足だった』『見ない方がいい』とか言われないように、取り敢えず頑張りたいと思います。


 長々と活動報告を連ねましたが、これで話したいことは終わりです。ご質問やご指摘がございましたらお手数ですがお尋ね下さい。また、完結後の拙作にて、誤字脱字報告を行って下さっている方、他にも活動報告を見てくださった皆様への感謝を最後に、この活動報告を終わらせて頂きます。

皆様、本当に……本当に、ありがとうございました。
これからも、よろしくお願い致します。
コメント全6件
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シン
2019年08月16日 22:37
完結お疲れ様でした。心に響く物語をありがとうございました。またいつの日か続きが読めることを楽しみにしています。
慈鳥
2019年08月04日 18:08
短編凄かったのでこちらでも、やはりストーリー性の強い作品はかなりの体力が必要なものなのですね。いつまでもお待ちしています。

テラロッサとレグルの仲を見届けるまでは待ち続けてやるー!!
白ノ木 零
2019年07月10日 05:36
短編も凄いなぁ
白ノ木 零
2019年06月29日 01:04
新作の発表を楽しみに待ってます。
くるるぎ
2019年06月13日 02:45
どうか作者様の書きたい思いが消えてしまわぬよう、ゆっくりで構いません。少しずつ綴って頂けると幸いです。

また、あなたの物語を読める日を心待にしております
野良猫
2019年05月13日 00:41
書くのであれば作者さんのペースでゆっくりでも作者さん自身が納得できるものができるのを待っています。
この作品は、毎朝の自分の日課だったので少し寂しいですがね…
完結お疲れ様でした。