今年は潜る年でした。
2020年12月31日 (木) 21:59
今年はお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。

気づけば活動報告ほうっぽって同人誌を作っていました。リアルは新社会人一年目。しんどいこといっぱいだし、慣れない環境の中でどう自身の趣味と向き合うか、悩みました。

そんな中で多くの人に支えられ、なんとか創作活動を続けられました。

なろうで短編をあげたら、感想を書いてくださる方がいたり、Twitterに短編を投稿したことを流せば、感想ツイをしてくださる方がいたりとても有難かったです。おかげで創作することを忘れずにいられました。

年初め境目に「死体します。」を投稿しました。佐倉さんのクリスマスに死体ごっこへ投稿できなくて、外野として投稿しました。ここから描写が淡白なのではないか、と悩み始めます。
「死体します。」はとても良い短編です。自分でもよく書けたと思います。ユーモアに全振りしてシュールに仕上げました。
ただここから、ちょっと書き方に違和感を持ち始めました。描写の薄さ、特徴のなさ、綺麗なのか、と悩んだりしました。

そこから3月まで青春アンソロという、アンソロジー(同人誌)の編集に移ります。
そこで「その白は名誉の証」というパンツ短編を寄稿しました。教習所、就職、卒論、激動の年明けでしたが、全てを両立させて同人誌を作り出しました。初めてのアンソロジーでしたが十五人もの参加者に恵まれて、「青の結晶」として文フリに頒布しました。
とても良い出来でした。

初めて校正・編集をしました。
参加者の原稿に触れるたび、自身の語彙力や文の読みやすくするにはどうするかといった理論が確立されていくのが分かりました。良い機会をもらいました。
この時書いた「その白は名誉の証」は、強さがテーマの作品です。私も読者も強くあってほしいと願いを込めました。強くありたかった。

頒布後、気づけば就職直前。
引越しも佳境にはいる中、カクヨムで企画がなされていたのでいくつか短編マラソンをしました。
「初恋」「獣」「あやとり」「毒吐く」
新たな門出です。

就職してしばらく経つと、毎年書いている桜エッセイ「忘れてしまった桜花の背中」を投稿しました。
新社会人として初めての作品です。新たな気持ちで踏み出しました。

それからは怒涛の日々で、書く暇ではありませんでした。とにかく楽しかった。初めての一人暮らしで、いろんなことを自分でやれる楽しさに満ちていました。
しかし、楽しさはすぐ崩壊して、お金を使うことへの引け目にやられて、半年後疲れてなんでこんなに罪悪感があるのか分からず泣いていたのが、今年の情けない思い出です。

そんな中でも創作活動は続けたかった。
私はこの感覚を忘れないために必死に創作活動にくらいつきました。
自傷アンソロ「ブラック・ボックス」←今年一最高傑作
トリップアンソロ「いちばんのひと」
レトロアンソロ「まっしろ」
と、一ヶ月ごとに締切を設けて、アンソロに寄稿しました。

八月。給付金が届くことがわかると、そこで再び青春アンソロを立ち上げました。
その名も青春アンソロ2「青の薄氷」という同人誌です。今年一月に頒布した第二弾を東京文フリで頒布する予定として進めました。こちらのアンソロは嬉しいことに十六人の作家さんが集まりました。憧れの人、初めて出会った人、それぞれの特徴的な文体の青春を詰め込んだアンソロジー、まさに私のツボをついた最高のアンソロジーを作りました。
編集・校正をし、上手いだけではいけない。心を突くとはこういうことなのだと悟りました。私は寄稿された原稿を読み泣きました。わけもわからず、こういうことがしたい。こういう原稿を書きたいと思いました。
十一月嬉しいことに東京文フリとコミティアで頒布して盛況に終わりました。本当に有難かった。いろんな人が、私の憧れの人、私の愚痴を聞いてくれた人、まるで知らない人、書籍化された方も、応援に来て購入してくださいました。
この思い出は一生忘れません。
コロナ禍で、イベントはきちんと対策されていたとはいえ、来ることは引けたと思うのです。その中で対面でわたせたこと、本当に本当に嬉しかった。

青春アンソロの編集の最中、私はとびらのさんの人外短編企画を知りました。最初はやりたい!でも忙しい…となっていたり、iPhoneが沈没したりと、ハプニングがあったんですが、とびらのさんが「おいでよ」と言ってくださり執筆を進めました。
編集は長い期間かかります。参加者の短編を集めるのも、それ相応に。めちゃくちゃ長く厳しい戦いを強いられます。

ですがその間は、人外短編企画を知ったり、第十回書き出し祭りに読み専として参加させてもらったりと意欲的にかかわっていきました。久しく書いていなかったから、うずうずしていました。

第十回書き出し祭りが終わった後、私は人外短編企画に「ツノ子」を投稿しました。
まったく自信がなかった。青春アンソロに寄せられた作品があまりに素晴らしくあてられたのもあったかもしれません。あんなに素晴らしい作品があるのに、私の作品はひじょうに淡白でした。「ツノ子」は複雑な心を書いているわけではありません。描写もこれまでよりも淡白です。ですが、開花があまりに美しかった。だからこれだけは、書かなければならなかった。

投稿した途端、たくさんの人が支えてくれました。
レビューも憧れの人三人からいただき、主催者のとびらのさんからドラマチック賞をいただきました。
私の感覚は間違っていなかった。

特にツノ好きを認知したきっかけをくださったカラスウリさんからの感想はくるものがありました。
ありがとうございました。

ところかわって、その後「ツノ子」青春アンソロ2が終わった後、同じ日日記というアンソロジーに「カナンを彩る。」を寄稿しました。

そして、ひっそりと織田作之助青春賞に二次で落ちた「父の親知らず」を投稿して、再びカラスウリさんからの感想をもらいました。今年の八月に公募に出したものになります。とても嬉しかった…本当に良かった…落ちたけれど、反応をもらえるだけで救われます。

今は第十一回書き出し祭りに参加しています。
たくさんの方に出会って、いろんな方に大切なことをもらって、悩み進んだ一年になりました。
怒涛の一年、コロナの一年、社会人としての一年、それでも私は創作活動を続けていくんだと決心した一年。思い出深い一年になりました。
私は、本当は創作活動にすがりついているだけで何で続けているかも分からないけれど、それでもまだ書けるうちは続けていきます。

今年はお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
コメント全5件
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カラスウリ
2021年01月05日 10:34
今村さんご存知でしたか! そしてお好きとは嬉しいです♡
否定とか全然思っていないので、オールオッケーです。

会場教えていただきありがとうございます。
はじめて覗いてみて、まず数の多さに驚きました!
読み始めてみましたが、稲穂さん作品が全然分からないことをゲロしますw これかな? と思うとすぐに、いやコッチ? と迷走です。なかに1本、これはゆめさん!?と思う作風があって驚きでした。ゆめさんが参加なさっているのか。ゆめさん風のステキな方が他にもいるのか。謎が謎をよびました。

記念にいくつかの作品に感想や疑問点を書こうと思っていたのですが。
ぼくらさんの時に参加した匿名夏フェスみたいに、遠慮なしでガンガンいくゼ!みたいな感じがないっ! ひゃああああ。これで遠慮なしで書いたら、わし鬼畜みたいやんっ! と、尻尾を巻いて逃げてきました。根性なしですみません。

ではでは。
千羽稲穂
2021年01月03日 15:59
>佐倉さん
あけましておめでとうございます。Twitterでも、こちらの割烹でもコメントありがとうございます。
織田作は聞いた瞬間、私のための賞なんじゃないかと錯覚したほど私の作風とぴったりな賞でした。だからこその一次突破だったのかもしれません(二次で落ちたけど)

まぐろさんに続きたい一心です。
今年は公募にガンガン出していきます!!!!
千羽稲穂
2021年01月03日 15:57
>カラスウリさん

新年明けましておめでとうございます。
コメントの返信が遅れてしまい申し訳ございません。

ここで私事なのですが、父と私の家族は縁を切っている状態です。最初の頃は、父の話題をだすだけでタブーだったのですが、最近は母が父の口癖を知らず知らずのうちに口にしていたり、父のことを話題に出して「パパと結婚したのはそういうわけやねん」とあれだけタブーの雰囲気を出していたのに今更なんやねん…と噛み締める日々です。私だけ今でも家族の中ではあの日に置いてけぼりな気分で、そういった心を小説に知らず知らず発散させているんだと思います。ことに「父の親知らず」は私小説の部分が大きくでている作品です。

カラスウリさんの家族とはちょっと違いますが、確かに通じる部分があると思います。

「父の親知らず」は、四次選考中の一次突破なのでまだまだな作品です笑 そんなに凄くないんですよ!!!これで二次突破なら喜べたんですが、まだ一次…もっと上にいけるようになるにはどうすれば…と悩んでいたところです。

今村夏子さん!私も好きです。「あひる」「星の子」「むらさきのスカートの女」どれも面白く読めました。今村さんは確かに文が淡白ですね。でも切々と迫ってくる何かがあります。
純文の中では、私が読む作品は確かにどれも淡白な文をしている作家です。(芥川賞なら「土の中の子ども」「むさらきのスカートの女」など) そういう作風を否定しているわけじゃなく、むしろ好きなので、これも武器の一つなのかもしれませんね。

こんど「こちらあみ子」を読んでみます。

私自身がこの淡白な文を好きになるように、自信をつけていきたいです。

書き出し祭りは第十一回の第二会場にいます!
バレバレなのと、喧嘩を売りにいっている問題作なのでお手柔らかに(笑)

カラスウリさんのコメントをみて、また元気をもらいました。長々しいコメント返しですみません。コメント嬉しかったです。ありがとうございました。
カラスウリさんも素敵な一年でありますように。陰ながら応援しています。
佐倉治加
2021年01月01日 16:15
去年はありがとうございました。あちこちでアンソロのお礼を言ってるので、短めに。やはり、稲穂さんと織作さんは行くと思ってた。二人とも似てるのに作風は全然違うの私の中で。
書いてたらいつか取るんだろうな、どっかで。って。
是非、まぐろさんに続いて!待ってるぜ。
カラスウリ
2021年01月01日 09:01
あけましたね。おめでとうございます。
何やら激動の一年だったご様子に驚きです。さらにそのなかでの、執筆に食らいつく姿勢に感服です。凄い! すごいよ! 稲穂さん。
稲穂さんの割烹から執筆に対する情熱をびしばしと感じました。

>>織田作之助青春賞に二次で落ちた「父の親知らず」
そんな凄いとこまでいった作品とは知りませんでした。よかったです。
わたし、主人公と同じく母に去られた経験があるので、余計に胸をうたれました。わたしは当時成人していたので、わりと淡々と現実を受けとめていたはずなのですが、それでも数十年がすぎた今でも、父と見送った母の背中を思いだします。なんでやねん? という思いを噛み締めているままです。
父は亡くなり。母とは仲良しですが、その母も初期の認知症となりました。当時の母の考えをもっと聞いておくべきだったと、痛感しております。
似たような経験を持つ読者のこころに、ヒビ割れのようなものを入れられるのは、稲穂さんの文章に力があるからだと思います。稲穂さんは淡白とおっしゃておりますが、そこが魅力のひとつなのではないでしょうか?

好きな作家さんに今村夏子さんという方がいます。「むらさきのスカートの女」で芥川賞をとった方です。わたしはデビュー作の「こちらあみ子」からのファンです。
何気ない日常のなかでの歪さを書いた「あひる」が好きです。「あひる」を読むといつも胸を締めつけられます。格別ドラマチックな展開のない、あひるをめぐる日常を描いているのですが、言葉のすきま(あるいは余白)に、するりとこちらの感情をひっぱってくる一瞬があります。書かない部分で、こころを揺さぶってくるのです。わたしは稲穂さんの物語に、似たような部分を感じていました。
って! なんやねん。この長い告白は! もう恋文じゃん!
ドン引きしましたら、すみません。きっと年明けハッピーで頭やられているのだと、スルーしてください。

書き出し祭り参加なさっているのですね。
綺羅きらしいお祭りなので、今まで関わったことないのですが、稲穂さんが参加されているのなら、読んでみたいです。どちらの会場にいるのか尋ねるのがNGでなければ教えてくなさい。あとで答えあわせしてみたいです。

ではでは。2021年が稲穂さんにとって輝かしい一年でありますように!!