2018年11月18日 (日) 20:50
■効果的な比喩について
「プレバト!!」というテレビ番組の俳句コーナーが好きなので、録画して思い出したときに見る。
このコーナーは、5人ほどの芸能人が詠んだ俳句をランキングし、俳人の夏井いつきが講評するというものである。バラエティ番組らしい気楽さもありつつ、講評がなかなか勉強になる。
11月8日放送では、平野ノラによる次の俳句が登場した。
燃える京 特等席や 秋舞台
この句の燃える京という部分は、紅葉の京都を喩えている。講評では、燃える京が比喩的表現として受け取ってもらえない旨の指摘があった。大火事の京都の町を見晴らしの良いところで眺めるとも受け取れるというのだ。そういった理由で、低い評価が為された。
どうだろうか。第一感、そんなことなかろうと思った。しかし、暴君ネロが街を燃やし、喜んで鑑賞したという話がある。無い光景ではない。
上述の講評の是非はさておき、文字をまずは文字通り受け取り、感じるということに、芸術をやる感性があるのだと思う。
比喩というものは、その喩えの世界が遠いほど佳い。ある対象を喩える場合、喩えの世界まで想像を飛ばし、再び元の対象に意識が戻る。その2つのものが一見して全く異質であるにも関わらず、重ねてみたときに同質性が感じられると、人は大きな喜びを覚える。きっと、1つの本質に到着したと感じるからだろう。
比喩的表現が慣用句として固定化してくると、2つを重ねるその効果は失われていく。
たとえば、「バケツをひっくり返したような雨」という、近現代に現れたに違いない言い回しがある。このことばは、既に慣用句と言って良いだろう。この語句を見たとき、頭の中で律儀にバケツをひっくり返してみる人は、少ないのではないだろうか。単にある種の大雨を思い浮かべるだろう。しかし、ある時代に初めてこの文句を言った人、聞いた人は、間違いなくバケツをひっくり返し、雨と重ねてみたはずで、現代ではあまりおこなわれないその行為は、ある種の豊かな想像体験であるはずなのだ。
だから、いつの時代も人は新奇な比喩を生み出す努力を辞めない。2つを重ねるという想像体験を提供するために。
私もこの点に気をつけて、優れた比喩を産みだそう。
■執筆の速い人にある物は何か
私の執筆速度は、たぶん遅い。たとえば、最近連載している「愚者と城」は、2週間に1話ほど投稿され、字数は1000字~2500字程度である。一方で、速い人は数時間で4000字を書いたりするようだ。なぜだろう。
本稿では、彼らにあるものが何か、思いつく限り挙げ、私の場合どうであるか検討する。
●書くのが楽しくて仕方がない
これは、大きな要素だろう。
私は全然楽しくない。全然は言い過ぎた。撤回しよう。稀に楽しい。うまい思いつきをしたと思えたときなど。
気まぐれに書いた「猫背」は、たった1000字だが、わりと楽しく書いた。まあ、あれも3時間くらいはかかっているのだけど。そういう自然さが私にも要るのかもしれない。
「小説を書くのが趣味」っていつかは言いたいものだ。
●書いていないときも、いつも妄想している
人生の万事に、もっと集中していただきたいものである。学生は学業に、主婦(夫)は家事に、労働者は労働に。私は労働にきわめて集中しているぞ。
しかし、私も労働のさなかに妄想の世界に旅立ち、いろいろとキャラクターを動かし、世界を膨らませていけたなら、どんなに幸せかと思う。
●他にすることが無い
無職であったり、暇な主婦(夫)であったり、大学を留年したりして他にすることが無い者も居るだろう。この有利を活かし、いつも書きまくっているかもしれない。
私も留年したときに書けば良かったな……。これを達成するためには、さっさと仕事を辞めるしかない。
●書くのに慣れている
何年も書いていると、小説を書くための脳が発達し、素早く書けるようになるという仮説である。
これはまあ、あるだろう。若いうちから書きはじめた者ほど有利に違いない。私もそうなりたいものである。
●キャラクターが十分に設定されている
設定がきちんとしていると、スムースに書けるに違いない。
私の作は、キャラ設定が下記のようである。
リウス
兄
3つくらい上。
弟に嫉妬する。
弟の死を消極的に肯定する。
愚者。
知識と剣術ができる。人間不信。
権力は欲したが、基本的に世の中をよくしたい。
このようにほとんど何も決まっていないので、行動の一貫性を保とうといつも神経をすり減らしている。しかも、たぶん保たれていない。一見遠回りに思われても、キャラクターの性格や容姿を設定したり、さまざまなイベントに対する反応のリストを作ってみたりして、地盤を固めて執筆した方が、速くもなるし、質も高まって良いのではないだろうか。
●世界が十分に設定されている
この点についてもキャラクターと同様である。十分に設定した方が良いだろうと私も思うのだが、何をどう設定すれば良いのかさっぱりわからぬ。
●誤字などを気にしない
細かいことを気にせず、ガッと書けるのではないだろうか。
はっきり言って、「小説家になろう」では非常に頻繁に誤字を見る。もうちょっと見直してはどうかと思うが、それを全く意識しないからこそ、毎日投稿できるのではないだろうか。誤字は神経質なファンが指摘してくれるのである。私のような。
●タイピングが速い
私は実は、留年したとき暇すぎてかな入力を身につけた。これが今より速くなれば、ちょっとは有利になるのだろうか。しかし、本業の人間はめちゃくちゃ速そうである。テレビゲームが好きな宮部みゆきとか、タイピングも速いんだろうな。
●部屋がきれい
この点を達成するのは容易ではないだろう。私も小説で一儲けした暁には、ハウスキーパーを雇おう。
以上、失礼な要素もあったと思うが、あくまで思いついた物を全て挙げているので、お許しいただきたい。数日に1話を書くあなた、どうだったろうか。
「小説家になろう」には、おもしろい作品もおもしろくない作品もある。私はおもしろくない作品を酷評するし、もっと時間をかけた方が良いのではないかと感じることもないわけではない。だが、それでも執筆が速いという点は、尊敬するところである。
大沢在昌の教本には、毎日10枚(400字詰め)書けとあった。私も、上述のような要素をいくつか達成し、速く書けるようになりたいものだ。他にも何かコツがあったら、教えてね。
ありがとうございます。
自分を追い詰めるってアイデアは、考えたこと無かったですね。こんどやってみます。私は自分にも他人にも誠実な人間じゃないんで、ガンガン裏切っちゃうんですけどね。でもやってみます。