かつて異界から竜が侵入し、蹂躙された世界。人々は多くの犠牲を出しながら竜を討伐した。――どうしても壊せなかった竜の卵を残して。
竜殺しの末裔であるギルバートは、いつか父からエヴァーリ城主の地位を受け継ぐべく精進していた。
両親や、兄と慕っている同族のケイ、その子ルーシェ、領地の人々と紡ぐ穏やかな日々。
しかしそれは、竜の来襲で破られる。
数年前に隣国で孵化した青い竜が、エヴァーリの人々を餌にしようと襲ってきたのだった。
父とケイは竜を、ギルバートは青の竜殺しを討ち取った。
だがその代償に、父は生死を彷徨う大怪我を負い、ケイが命を落としてしまう。
ギルバートはケイとの最後の約束を守るべく、その子ルーシェを守り育てることにするのだが……。
十五の歳から数々の竜殺しを殺し、竜殺し殺しの竜眼公と恐れられるようになる少年の成長と、幼児に振り回される日々の物語。