イケメンが恐い。そんなトラウマを抱えたサラリーマン(独身)は、魔力の強さが人間の価値を決める、魔法至上主義な異世界ネコリオンに転生してしまう。
「どうして僕が侯爵令嬢に? しかも幼女とか何の罰ゲームだ……」
性別が逆転してしまったとか、魔力が自分には一切ないとか、問題は山積み。そして、貴族の息女として七年の月日が流れた時、彼は気付いてしまった。
「あれ? この世界って闇乙女ゲームの世界に似てる?」
この異世界が前世で元カノの趣味に合わせ、攻略してみた闇乙女ゲームの舞台そのまんまだと。しかも、自分の役割はゲームヒロインの障害役、つまり恋路を邪魔する悪役令嬢だった。ゲームの特性上、いずれヒロインの攻略対象となるイケメンたちは、ことごとく闇堕ちしている性格の持ち主ばかりなはず。最悪なことに、彼らは自分の婚約者や王子、その他身近にいるイケメンたちだった。病みに病んで国を滅ぼしたり、残虐の限りを尽くしたり、人々を貶める災厄級の将来をゲームで約束された男達。
重度の美男子アレルギーだけど、どうにか滅亡ルートは避けたい。だから周囲のイケメン共の行く末を軌道修正するべく『精霊鍛冶でイケメン共を鍛え直す!』と決心するも四苦八苦。失敗や後悔、無念を乗り越え、イケメンたちを……恋に落とすのか、爆ぜさせるのか、屈服させるのか、手を取り合うのか、殺すのか。旧友たちの闇堕ちを防ぐため、冷徹無慈悲な『黒薔薇の魔剣姫』という自分の運命すらも捻じ曲げるため、幼いリリアロエの冒険譚が始まる。
「リリアお嬢様! なんて事をしてるのです!?」
「えっ? 鍛冶ですよ?」
今日も元サラリーマンな美少女は、ヒキコモリお嬢様にあるまじき破天荒な行動を取っている。
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