平凡な日常に退屈した少年の目に、ふと映った怪しげな神社。導かれるように鳥居をくぐった先にあったのは、平安京だった。しかし、平安とは名ばかりである。飢饉の余波で荒廃した洛外、夜盗と暗殺が横行する洛中、そして、分裂した皇統と終わらない戦乱。混沌の真っただ中で早くも命の危機に見舞われた少年を救ったのは、神の力を借りて戦う少女、仁王丸だった。戦乱で弟以外の一族を失い、一族再興と復讐を託された仁王丸。そんな彼女の願いを叶えるべく、少年は曲者ぞろいの都の貴族たち、そして、全ての元凶、南都の上皇に立ち向かう。
これは、お気持ち程度の異能を持つ少年が、歪んだ歴史の中でもがく少年少女たちの希望となるまでの物語。