まだ魔王が存在し、世界が混沌としていた時代。 ある都市の広場で一人の少女が絞首台への階段を上っていた。 彼女は歌う、悲しい唄を。 その歌声は”魔女”と呼ばれるのに相応しいほど美しかった。 そんな少女を救ったのは、人間から忌み嫌われる魔王という存在であった。

月下に現れる寝殿の主カグヤと神の力を巡る者達の幻想奇譚（仮）

　この世界には竜の加護を持つ二つの大国がある。一つは竜の知と技を受け継いだアルスメリア王国。もう一つは竜の力と体を受け継いだグランディア王国。アルスメリア王国第一王子の筆頭侍女を務めるフィーナ（18）とグランディア王国の放蕩王子セルク（21）の二人が出会った時、時を止めていた世界が動き出す。「お前を国に連れて帰る」そう宣言したセルクに、”自分の気持ち”と”自分の持つ秘密”の狭間で揺れ動くフィーナ。国を巻き込み、世界を巻き込み、二人の物語は紡がれていく………