近未来。「小説家になろう」登録者数は150万を優に越え、秒単位で新作が生まれては消えていくようになり、多くの底辺作家が「感想(パン)が欲しい」と飢餓にあえいでいた。
ある底辺作家が「必要なのはジャガイモだ。感想が足りないなら、AIに感想を書かせればいい」と叫んだ時。
大半の者が鼻で嘲笑った。「機械に書かせたって有難味ないだろ!」と。ところが……
「ほう──ならば作ってやろうではないか。飢餓に苦しむ『なろう』の世界に、ジャガイモを。
人間が書いた感想と区別がつかぬほどの、素晴らしいヤツをな」
その戯言を聞き入れた男の名はアクマ博士。元なろうの底辺作家だった。
彼はついに作り上げた。
300の読み専スコッパーIDを操り、秒速20万字の速読解機能を持ち、作者一人一人の環境・心理・欲望を最適格に分析・学習できる高性能人工知能を備えた、自動感想送信システム「小野イモ子」を!
彼女(?)は飢餓にあえぐ底辺作家たちの心の支えとなる「カリスマ読者」としての地位を固めていく。
ただの慈善事業にしか見えないが、その裏にはアクマ博士の企む恐るべき陰謀が──!
果たしてイモ子さんは、殺伐とした「なろう」の世界を救えるのか!?