事故で片足を喪い、生きる意味を見失った少年、カゴハラ・クニカは、たわむれに自殺の真似事をした結果、誤って本当に命を落としてしまう。「死にたくなかった」と後悔するクニカの前に異端の神が現れ、クニカは少女に性転換させられた挙句、異世界へと落とされる。住民がロシア語を話し、異端のキリスト教が信仰される亜熱帯の異世界“キリクスタン”では、突如として降り注いだ“黒い雨”の災厄により、崩壊の一途をたどっていた。
クニカは、自分を助けてくれた少女、リンとともに、生き残りをかけて“救済の地”ウルトラを目指す。そんなクニカの前に立ちはだかるのは、徘徊する異形の群れ、街を支配するギャング、謎の軍隊、人びとの相互不信に、最後にして最大の“嘘”だった――。
これは、生きる意義を見失ったひとりの少年(少女?)が、遍歴の旅を通じて、生の価値、生を超えるところにある価値を見出していく物語である。全50話。200,000文字弱。