学生集団の異世界転移にまきこまれたおっさん、その名も三世八久(ミツヨヤツヒサ)。
修学旅行の学生集団と一緒に異世界に転移するが、うまく馴染めなかった。
もう集団生活はコリゴリと学生中心の転移者集団から離脱し、田舎の一人暮らしを始める。
チートとか成り上がりとかそういったものに憧れが無いわけではない。
だけどそんなことをするような活力が沸いてこない。転移前の生活でその精神は磨耗しきっていた。
日々惰性で生きているような中年に、何か特別なことを為すような気力はもう残っていない。
そうして彼は、田舎だけど人当たりの良い村の中で、幸せな日々を緩やかに過ごした。
緩やかで優しい日々。だけど心が枯れて虚無的な日々でもあった。
だが、そんな彼が変わる様な、運命がすぐ傍まで迫っていた。