第一章
本狂いの迷い猫、ヴァイオレット・ベルシュタイン侯爵令嬢は悪役令嬢である。乙女ゲーム「アムネジアの箱庭」で、ヒロインの行く先々に現れては攻略対象を掻っ攫っていく嫌われ者……だったはずなのだが。
「あらあら、まあまあ」「どうしてこうなった……――!?」
一人では食堂にもたどり着けない極度の方向音痴、本を読み始めれば婚約者の声すら届かない本の虫。このご令嬢、もしかしてとんでもなくポンコツなのでは……?
第二章
ソフィア・ジェーン子爵令嬢はヒロインである。ストレスゲームと称されるほどトチ狂った乙女ゲーム「アムネジアの箱庭」で、用意された数々の嫌がらせじみたストーリーにもめげず攻略対象と結ばれる……はずだったのだが。
「っっっっンでこうなった……――!?」「あらあら、まあまあ」
王子を見ればスカート翻して脱兎のごとく走り去り、悪役令嬢を見れば花のように笑顔を振りまく。このヒロイン、もしかして攻略対象を勘違いしているのでは……?
第三章
愛は実り、恋は咲いた。では、続き。愛に困難はつきもので、恋に試練はつきものだ。
嬉し恥ずかし姦しい日々の中、乙女ゲームのシステムがソフィアを襲いヴァイオレットに噛みつく。災厄に面倒くさくて、最悪にうっとうしい恋の邪魔者を相手に、果たして二人は愛する男を守れるのか――!?
「あらあら、まあまあ……」「きっっっっついっ!!」