伯爵令嬢のジュディスはとても可愛らしい子だったので、五歳の頃から母親があちらこちらのお茶会に連れ出しては自慢していた。そんなとき周りの夫人たちは、いつも貴族の愛人に関する噂話をしていた。ジュディスは成長するにしたがって、その内容を理解するようになり、貴族の男性に愛人がいることが当たり前なら、その人を愛さなければいいのだと思い至った。侯爵子息のアーサックと結婚しても、彼を愛することはないと自分に言い聞かせていた。そして、彼の愛人はいつ現れるのだろうと考えた。そんなときにある事件が起こり、ジュディスはアーサックを愛しているのだと自覚してしまう。だがジュディスが彼に愛を告げるには長い年月が必要だった。
※婚約破棄もドアマットもざまあもないです。白い結婚でもないです。たまにこんな物語も良いかと思いまして。全体的には穏やかな物語ですが、暴力的な部分が少しだけあります。