親友に会いたい──。
高校に入ってから友達が出来たことのないこの俺、曙晃《あけぼの アキラ》は退屈な日常を送る中でふと親友のことを思い出す。
親友の名前はリョウ。ガキの頃はコミュ力オバケで無尽蔵の体力を持っていた俺が、夏休みの間だけ遊んだ男の子だった。
まさしくわんぱく小僧だった俺とは真逆で、リョウは泣き虫で気弱で俺の背中をぴったりとくっついて離れない程だった。そんなリョウと遊びまくった俺は、あいつのことを親友だと勝手に認めて再び会う約束をしていた。
その夏休みから10年後の今、結局俺とリョウは会うことはなかった。友達らしい友達がリョウだけだった俺は、その存在の大きさを痛感すると同時に謝りたいとも思っていた。無理やり付き合わせて怖かったよな、ごめんって。
でも、そんな願いは天に通じることなく。今日もまたぼっちな俺は退屈な日常を送るだけ……そのはずだった。