時は国盗りの世。
南半球に位置する小国ゴドリック帝国もまた近隣島嶼に覇を成し植民地政策に乗り出していた。
しかし一年前、帝政は一人の異能を持つ男によって乗っ取られてしまう。
新皇帝となった男は帝国を破滅へと導いていた。
帝国最強の兵士と謳われていたロブ・ハーストは軍を抜け、修道院からあるものを盗み出した。
それは新皇帝ブロキス帝の暴走を止めることが出来るかもしれない唯一の存在だった。
様々な人々の助けを借りて島嶼に浮かぶ聖地ジウに辿り着いたロブ・ハーストは、あるものを大賢老に預けて再びゴドリック帝国へ戻った。
帝国で催される記念祭では策謀が渦巻き、敵同士が互いの排除を画策する中、ブロキス帝と対面したロブ・ハーストは皇帝の企みを知った。
何かを得るためには何かを犠牲にしなくてはならない。
罪を重ねて歩き続けてきた者たちが一人の少女を巡ってそれぞれの答えを出す前日譚。
これは虚ろなる山にて、七つ目の鐘を数え、時の眠りし様を見守る時の賢者が冒険家ニールに語る、追憶の物語である。