いつからあるのか分からず、誰も振るうことのできなかった伝説の聖剣――――それは、今やとんでもなく怠惰な引きこもり精霊付きの厄介アイテムとなっていた。
「人間なんかに振るわれて正義を為すなんてまっぴらごめん。絶対に働かないわ」
そう宣言して絶対に地面から引っこ抜かれようとしなかった聖剣を、ある日突然、選ばれてもいないのに腕力だけで引っこ抜いたヤバい奴が現れる。
「ふっ、私こそが選ばれし者、ということか。聖剣に選ばれたとおり、悪人は全員殺す」
自称勇者の男は、聖剣の力なんかろくに使わず、心も一切通じ合わせず、圧倒的なフィジカルと独善的な正義感で、『悪そうなやつ』を即ぶっ潰していくスタイルを貫く!
「ちょっと待って!? あんた聖剣の力使わないの!? てか私、選んでないし! ラスボスみたいなセリフもやめて!!」
選ばれざる筋力系自称勇者と、被害者ヅラが板についたツッコミ過労の聖剣精霊による、お気楽コメディ物語。
※カクヨムでも更新しています。
※旧題『無理やり聖剣をぶち抜いた自称勇者さん、ラスボスになる』