―――気がつけばそこは異世界で。
僕は〈採取家〉で、種族は『古代吸血種』で、更に『女性』になっていた。
読書と料理を趣味とする普通の男子高校生、玖島凪。
彼はとある暑い夏の日、立ち寄ったコンビニの自動ドアを潜ると同時に、異世界の神『アルティオ』の仕業により転移させられてしまう。
異世界に来たことで天職〈採取家〉の才能を萌芽させた凪は、自分の身体の内から聞こえる声『エコー』から知識を学びながら、魔物から『絶対に襲われない』スキルなどを活かして、新天地での生き方を模索していく。
〈採取家〉の天職は、魔物を倒す為のスキルを一切与えてはくれない。
魔物と戦うことを生業とする人達が集う『掃討者ギルド』に登録しながらも、魔物との戦闘を一切行わず、ギルドで底辺仕事として認知されている採取クエストばかりを一手に引き受けていく凪。
けれども―――奇しくも『採取』に特化された凪の才能こそが、魔物を積極的に狩る掃討者の誰よりも、多くの人達を護り助け、幸せへと導いていく。