「私、メリーさん。今、貴方の隣にいるの」
大学入試で都会へ出てきた男子高校生、滝沢辰は、そこで自らを都市伝説の一角だと名乗る、風変わりながら美しい、女学生に出会う。
互いに言い様のない親近感を覚えていた矢先、二人は奇妙な怪現象に巻き込まれることとなり、人知れず奔走するのだが……。
「きっとあれは運命だったのよ」自称都市伝説の女は、夢見がちに語り。
「奇妙な縁だった事は認めるよ」男はそう言って、照れ臭げに肩を竦める。
なんやかんやで同じ大学に進学した二人は、その時の体験や自分達の〝特異体質〟の事情を切っ掛けに、趣味も兼ねたサークルを立ち上げた。
『渡リ烏倶楽部』
それは、幽霊やその他、この世に存在するありとあらゆる怪異や謎。超常現象。都市伝説に触れて回るオカルト研究サークル。
この物語は、そんな幽霊が視える二人の出会いから始まった、摩訶不思議な怪奇譚目録である。
時に恐怖に震え、時に心踊らせながら、友達以上恋人未満の二人が今日も行く――。
※本編完結済み。今後は不定期更新の短編・中編の怪奇譚集となっていきます。
夜更かしのお供にどうぞ。