じじ様が死んで、ひとりぼっちになった。
淋しいことはいっぱいあったけれど、それはじじ様がいないからで、ひとりだからじゃない。
『3年たったら帝都で学ぶように』
それがじじ様の遺言だった。
その3年がすぎ、帝都へ行く準備をしようとしていたある冬の日、私は『彼』と出会った。
アーネスト・エレザール=リュカディア=シュレイヤーン
蜂蜜にも似た金の髪、新緑の緑の瞳を持つ、昔絵本で読んだ王子様みたいな騎士。
「いいか、ちび、言っておくぞ。肉をよけるな、レバーを残すな、魚を俺の皿に移すな!!おまえは、好き嫌いばっかしてるから、んなにガリガリなんだよ!!」
「………いらない」
「ちびっ!」
「知らない」
「このクソガキっ!!」
……でも、中身は小姑だと思う。