幼馴染の雲雀は、色が認識できない。世の中のすべてのものを白か黒かと、その濃淡でしか判断できなくなった彼女は、いつしか心を閉ざしていった。 俺は雲雀が明るく元気だったころから、彼女のことが好きだった。今だって変わらない。 ――けれどその思いは、きっと曇ったものになっている。雲雀はそばにいて助けなければいけない存在だと思っていて、俺はそれを『好き』だと、勘違いしているだけなのだ。 俺は雲雀のことを、本当の意味で好きになりたい。そう思いながら、一日一日と時は過ぎてゆく。 これは一番近くて一番遠い、幼馴染たちの物語。

僕、雨宮 日向には幼馴染がいる。 一ノ瀬 涼香 明るい性格と幼馴染という身内補正を差し引いても可愛いと断言できる容姿で、男女問わずいつも友達に囲まれている人気者だ。 僕と涼香は家族ぐるみで付き合いがあり、小さな頃からいつも一緒で、高校生になった今もそれは変わらない。一緒にいるのが当たり前でこれからもずっと、僕の隣には涼香がいる。そう思っていた。 そう思っていたのは僕だけだった… 現実世界〔恋愛〕日間・週刊ランキング1位（2019.10.14）完結致しました。ありがとうございます。

隣の席の蓮見さんは、切れ長の目と綺麗な黒髪が素敵な美人さんだけど、 あまり人と話したがらない、とてもクールな人だ。 ４月から半年近くの間、蓮見さんと事務的な会話以外で話したことはほとんどない。 でもいいんだ、俺には好きな女の子が別にいるから！ 俺は、幼馴染の心春が昔から好きだ！　大好きだ！ ちょっと世話焼きな所も、小動物みたいに小さくてちょこちょこ走りまわる所も可愛い！ 俺はこんな幼馴染がいて、幸せだ！ そんな風に考えていた時期が、俺にもありました。