創国から五千年に渡り、女帝が国を治めてきた“人”と“獣人”が暮らす煌華帝国。
その帝国に於いても歴代最恐と呼ばれる凶皇帝・朱蘭を母に持つ、帝国随一の美姫・白藤には秘密があった。
「……えっと、深窓の美姫と言うか、ぶっちゃけ男なんですケドね」
それは、至って健全な男児であるという事。(ついでに中学生男児としてチャリで塾に通ってた記憶持ちであるという事)
そしてそんな白藤には密かに憧れる存在がいた。
それは【護衛獣】と呼ばれる獣人集団の内の一人の若者。名を蒼狼。
男であることを自覚しながら女として生きる白藤にとって、強く真っ直ぐな蒼狼はまさに理想の男性像の体現者(俺もこうなりたかった!)だった。
しかしその蒼狼も、実は“男として育てられてた女”で、白藤の事を理想の女性像の体現者(オレもこうなりたかった……)として、密かに憧れていたのてある。
そんな二人がある夏に出会い、互いの素性を知った時、停滞していた歴史が動き出す……。