七歳の誕生日に記憶を失ったエルフリーデは、妖精に愛される"花の蜜"であるがために、家族と離れ、お姫様にならなければならない運命だった。 ──そして少女は、どこか放っておけない、寂しげな王子様と出会う。 ちょっと危険なほど妖精に愛される記憶喪失の女の子がお姫様になり、いろんな人と出会いながら、陰謀渦巻く王城で大切な人を見つけ、守るために奮闘するお話です。

　これは「義務」から抗い「自由」を求める者、その逆を追い求める者の物語である。 　琉球王国をモデルにした全盛期の白澪国で、幸福と苦難、正覚と煩悩、そして運命が主人公子珞、異母兄の子孝の人生を交差させる。 　大和の最南端薩摩から遥か南に島国白澪国は位置している。皇太子の父と参ノ妻の母に愛され産まれた弐ノ皇子は後々国を統べる者「国継ぎの皇子」の印があり、神が憑いていた。しかし、壱ノ皇子の母である壱ノ夫人の画策によって、皇子は幼くして母と死に別れ、城を出た彼は、様々な出会いと別れを繰り返し、成長していく。