あまりにも突飛で荒唐無稽すぎる武勇伝と逸話から、未だに実在が疑問視される伝説の英雄、「与え姫」。その寵愛を得た少年たちの成り上がり物語―――『与え姫奇譚』を執筆する、元・国家魔術騎士養成学校『従騎士』の経歴をもつ作家、アルフレッド。
ある「致命的な理由」により、目標としていた国家魔術騎士への道を断念し、日雇い警護の仕事をしながら、売れない作家生活を送り燻っていた彼だったが、収穫祭の夜、「魔術師」とおぼしき、負傷した少女を保護する。
しかし彼女の姿、常軌を逸した魔術の能力。どことなく既視感がある……。
そう。それはまさしく、アルフレッドが現在執筆中の作品『与え姫奇譚』の主人公の一人―――伝説の英雄「与え姫」の姿そのものだったのだ―――!!
まるで、自身の作品の中から抜け出してきたかのような謎の美女、エルフィオーネと出会ったその日を境に、売れない作家だったアルフレッドの周りには、様々な変化が起こっていく。
厳正な統治により平穏が保たれていたはずの領地を震撼させる事件の数々。
治安の乱れに便乗し悪事を働くならず者たち。
後継者問題で真っ二つに割れる王宮。
中央の混乱を察知し攻め入らんとする蛮族達。
傾国の一途をたどる王国に見切りをつけようとする同盟国―――。
そして、一体如何なる運命のいたずらか。しがないギルドメンでしかないアルフレッドは、本来なら関わるべくもない国家の動乱に、否応なく巻き込まれていくことになってしまい―――。
それとなく昔懐かしい、剣と魔法……じゃなくて剣と魔術のハイ・ファンタジー。魔法が消滅し、その代替の技術として、科学と共に魔術が発達した世界。
伝説の英雄を書いてたら、まさかご本人がアシスタントとして、横で俺の作品の駄目出しをしてくれている……? そんな馬鹿な話が……! いやしかし……。そんなお話になったりならなかったり。
※カクヨム様にも同じのを公開してます。なろうバージョンは、自作の挿絵も公開してます