とある街のとある商店に勤める新米事務員は、現代日本から異世界にやってきた頼りなさそうな男だった。 上司に叱られ、夜は友人たちと飯を食いながら笑い合い、なんとか仕事をこなす頼りなさそうな、少しばかり歳を食った事務員。 魔法が発達したその世界で、魔力を持たない彼は、少しでも自分が暮らしやすくなるように色々と奔走する。 そんな、事務員と、それを取り巻く人々との遣り取りを書いた日常モノです。

　ある日、母が虫干ししていた道具類をうっかり触った所、至極あっさりと異世界転移。 　彼は心の中で叫びます。 「俺は母さんのように助走も無しで２階に飛び上がったり、素手で立木を切り倒したり、がらくたを組み合わせて永久機関を作ったりは出来ないんだ！ 　……なのになんで俺はここに居るんだろう。 　え、異世界？　あんなの母さんの子守歌代わりの作り話だろ？」 　……残念ながら、現実でした。 　ＭＰチートを武器に何とかこの世界を生きていく神楽十蔵君（２１）のお話です。 ※偽クノイチ異界譚の続編となります。前作を見ていなくても大丈夫ですが、見ていると所々ニヤリとできます。