樫野璃玖には気になっている存在がいる。大切な親友であり部活の後輩でもある橋戸ソラだ。
あざとさで璃玖を翻弄し、誘惑するソラ。しかし人差し指を口元に当て、ウインクをしながらこう言うのだ。
「ぼくのこと、意識しすぎちゃダメですよ、センパイ♡ だって……」
璃玖は知っている。分かっているけどどうしても気になってしまう。
何故ならソラは、璃玖の想い人の女性──ソラの姉とそっくりに性転換してしまっただけの、元・男の子なのだから。
心の性(ジェンダー)はそのままに体の性(セックス)が狂ってしまう【性転換現象】。
璃玖の想い人が抱える心の闇と、彼らの人生を壊した【過去の事件】。
様々な人の偏見や悪意に晒されながらも各々の恋を紡いでいく、学生たちの青春物語。