※5月30日 KADOKAWAエンターブレイン様から書籍1巻発売!※
「もう我慢できませんわ!」
公爵令嬢アイリーンは、思い切りブチ切れた。
婚約者の第3王子が、浮気相手に傾倒して、なんと交換留学に自分ではなく浮気相手を連れて行ってしまったのだ。
「許せませんわ! ありえませんわ!」
こうなったらもうアレしかないと、彼女は真夜中に屋敷を抜け出した。
森の中の立ち入り禁止の古教会に忍び込むと、魔法陣の前で叫んだ。
「出でよ! 悪魔!」
凄まじい風と光と共に現れたのは、この世の物とは思えない美しい悪魔。
「何を望む?」と尋ねられ、アイリーンは躊躇なく叫んだ。
「あの女を何とかして下さいませ!」
「あの女?」
そう尋ねられ、アイリーンはしゃべりまくった。
悪魔が聞いてくれることをいいことに、溜まりに溜まった10年のうっ憤を吐き出す。
そして、全てを吐き出してスッキリ冷静になった彼女は気が付いた。
「もしかして、これって悪魔を呼び出すほどのことではなかったのではなくて?」
「ま、まずいですわ! 魂を取られてしまいますわ!」
一方、呼び出された悪魔も困っていて……。
この話は、婚約者に浮気されて勢いで悪魔を召喚してしまった残念令嬢と、気まぐれに呼び出された美しい悪魔が、何だかんだ仲良くなりながらに貴族の陰謀に巻き込まれて行く話です。