この国では、人の命に等級がつく。
基本的人権が保証されているのは一等国民のみ。
人ではないとされる二等以下の人々は、壁の中で尊厳のない暮らしを送る。
高さ25mの壁に囲まれた強制収容所、その名も「箱庭(クープ)」。
三等国民の子どもたちは、七つの歳を迎えると親から引き離され、天井のない牢獄に収監される。
100年前に大陸の覇権を握って以来、太陽の沈まぬ国ベルチェスター連邦共和国は、残酷な統治を行っていた。
さて。
ところである箱庭のギムナジウムには、自信家の『クイーン』がいた。
「自分にガッカリされることに比べたら、何だってただのかすり傷だわ!」
赤毛の少女の名はエル・スミス。
最底辺の三等国民でありながら、命知らずの小さなスターに、クープの市民はいつも熱狂。
14歳になった彼女のもとに、差出人不明の黄金の鍵が届く。
不思議な力を持つ鍵は、全てをひっくり返す起死回生の一手。
世界は長らく王を求めてきた。
そろそろ運命を告げに、ひとりの青年が姿を見せる。
残り時間の少ない命と、ささやかな恋を抱えながら。
全クープ市民が熱烈応援!
飼いならされた人々が拳を握って立ち上がる、奴隷蜂起ファンタジー