『だいすき。それだけでも言えて良かった』
2060年高校生最後の日、そう言って彼女は姿を消してしまった。
世界が灰色になったのはいつからだったろう。君がいない世界はまるで本当に。
2063年、トウキョウの空に大穴が開いた日から3年。ニホンのみでは無く世界中が灰色に染まった世界。
トウキョウに住む大学生、柊道夫(ひいらぎみちお)は久しぶりに帰国した友人達の誘いを受ける。
灰色の世界で唯一色が残っていたのは、居なくなった彼女、井ノ上るあが渡してくれた桜色のマフラーだけであった。
いつも通りにドアを開けた先は、ニホンでは無い彩りに満ちた異世界『イミュリーズ』が広がっていた。
その日から彼の全ては変わりだし、戸惑いながらも心から助けてくれた沢山の異世界の人々と関わっていく中道夫は確信する。
「彼女は、井ノ上るあは『ここ』にいる」
現地の人々も手に余る。壮大長編なハード級異世界カムバック伝説第一章!