『現在ではヴァンパイアと呼ばれている奇妙な存在は、令和1年、中国の武漢にて第一号が発生して以来、人類の歴史に様々な影響を与えました。発症すると哺乳類の動物と人間を足して二で割った、いわゆる獣人のような形態となり、付近にいる「人間」のみを襲います。犬や家畜など、人間以外の動物は巻き添えでもなければ襲うことはありません。この際、ウサギやヒツジといったほかの動物を襲わないような見た目となったヴァンパイアでも人間を襲い、噛みつく、極めて危険な性質を持っております。
そうしてヴァンパイアに噛みつかれた人間は、約4分の1が同じヴァンパイアになってしまいます。そして、約4分の3が病気のような症状を引き起こし、症状や体調によっては後遺症が残るか、死に至ります。そんな危険なヴァンパイアを止める手段は当初、殺害してしまうか、もしくは力尽きるまで暴れまわるらせるしかないと思われていました』
その番組で語られているのは、私情を挟むことのない平等な報道であった。面白みのない報道ではあるが、差別をあおるような報道をするよりかはよっぽどいい。
『しかし、約350人に1人ほど存在する特殊な血液の持ち主、シルバーブラッドであれば、少量の血液を与えることでヴァンパイアに正気を取り戻すことが出来……また、ヴァンパイアは正気を保ったまま、驚異的な身体能力を振るうことが出来るとされています』
これは、ヴァンパイアとなった者たちが紡ぐ物語。
※二日に一回の投稿を頑張って目標にします。