12歳の冬休み、家族旅行でカナダを訪れた少年、天宮煌太(あまみやこうた)。
まるで別世界の様な白銀のゲレンデで、煌太は同じ年頃の白瀬那緒(しらせなお)と出会う。
那緒は自由自在にスノーボードを操り、まるで雪原を舞う妖精のようだった。
煌太はその姿に目を奪われ、それ以来再会の叶わない「少女」に想いを募らせていく。
しかし10年後…… カメラマンとして働き出した煌太の前に、那緒は偶然現れる。
そう、彼は少女ではなく、美しい銀髪の青年に成長していた。
プロスノーボーダーとして活躍する、那緒の取材を撮影することになった煌太は、驚きを隠せないまま、その姿から目が離せずにいた。
幼い頃の面影を残したまま、どこからどう見ても男性に成長した彼。
それでも煌太は、何故か那緒が気になって仕方がなかった。
「アンタ、タチの悪いファンか何かか?」
思い切って声をかけた煌太に、那緒は冷たい視線を向ける。
子供の頃の明るい姿からは別人のようになってしまった那緒。
ショックを受ける煌太だが、それには、暗く悲しい理由があった……
それでも煌太は、彼の冷たい記憶を溶かすように、温かい心で包み込んでいく。