学校一の美少女―――姫宮愛。
彼女には異名があった。
『魔王』……そう、彼女は生徒からそう呼ばれている。
「好きとか言う前に、手汗がすごいことになってるわよ? あっ、もしかしてそれって手汗じゃなくて、手を洗ったあとにハンカチで拭いてなかったのかしら? 可哀想に……私と付き合う前に、まずバイトしてハンカチを買う金くらい稼ぎなさい? それでは、また会った時私があなたのことを覚えているのを祈ってるわ」
というふうに、告白してくる男にことごとくトラウマ級の辛辣な返事をする彼女はいつの間にか『魔王』と呼ばれるようになっていた。
そんな彼女に、俺は罰ゲームで最低のセリフで告白をする羽目に……。
「日給10円で俺の彼女にならないか?」
「いいよ」
俺の最低の告白に、まさか彼女はOKした。きっとこれはなにかの陰謀だ!! 彼女は俺に油断させて、俺が心を開いたときに俺をこっぴどく振って高笑いするつもりに違いない……!!
だから―――
「解雇したい」
「いまさらもう遅いわ」
―――どうやら、解雇は無理っぽい……。
雇い主である俺―――秋月樹と雇われ彼女である姫宮愛の雇用契約に基づく恋人関係が始まった。
これは最低の告白から始まる最高の恋の物語である。
※本編は70話で完結してます。