『現代の悪の総統』ラキ=ゲルト=アークブラッド伯爵。
彼は完璧な男だった。
単独でも比肩しうる者のない武力を備え、有能かつ強大な組織を率い、そして正義に憎まれていた。
近代兵器で武装する政府組織である正義の味方を相手取り、圧倒的な寡兵ながら己(おの)が実力とカリスマ性、権謀術数で引けを取らずに戦ってきた。
――そんなラキ伯爵と彼の秘密結社『イグナイト』が栄華を極めた一年前が、今はもうまるでずっと昔のこと。
突如現れた政府組織『赫(アカシ)機関』によって党首を潰されたイグナイトは、今では数ある弱小の地下組織に身を落としていた。
この物語りは新しい党首、ヨキ=リヒター=アークブラッド伯爵の真面目な孤軍奮闘を描いたコメディである。