この物語の主人公、終夜鴉紋(しゅうやあもん)が転移したのは、赤い瞳の人間を『ロチアート』と呼び、家畜の様に管理して喰らう絶望の世界であった。
秩序の守られた泰平の世。その世界に何の悪意もなく大切なモノを奪われた鴉紋は、腕を黒く変化させ、人ならざる剛力を発現した。
怒り迸り何もかもを破壊しながら、鴉紋は世界を統治する9人の“天使の子”を殺し尽くし、自らの願う世界を創造する事を決意する。
――しかし彼がこの世界に訪れてしまった事も、その世界を破壊するといったある種異常に思える意志すらもが、彼の内に潜む“別の人格”による因果である事を彼は知らない。
――そして壊れていく。
ロチアートも同じ人間だと言いながら、ロチアートの為に人間を殺戮していく悪魔へと。
平和な世界に堕ちて来た、ただ一つの悪意として。
そして同じ時、同じ世界にて、一つの“正義”が産声をあげる……
鴉紋に大切な者を殺し尽くされた黄金の騎士
この世界の主人公、ダルフ・ロードシャインは、煮え滾る執念に“不死”の能力を発現して心に復讐の大火を逆巻かせる。
何度も死に、何度も死に……地獄の様な責め苦にあえぎ苦しみ続けながら、ダルフは力に手を伸ばし続ける。
正義を宿した豪快極まる巨大剣、鉄塊の如きクレイモアを振るい、修羅となっていきながら……
悪魔を滅し、安寧を取り戻す為に。
452話453話あとがきにて、世界観や赤目達の正体についての種明かしがあります。
キリスト神話、アルマゲドンや生命の樹、ソロモン72柱など、天使と悪魔との闘争を題材にしています。