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連載 完結済 8エピソード
林芙美子文学賞 最終候補作品 三田文学新人賞 最終候補作品  わたしは体調が悪い。ずっと、眠くてだるい。それが、死ぬほど苦しい、たおれそう、寝こんでいるような病気ではなくて、微妙な感じで他人に通じないのがいやだ。  水族館で、わたしは、ペンギンを見ながら彼氏のセミとわたしの関係を思う。 「水族館の生きものって、本当に生きものなんだよね、ただの。生きてるだけ、最短距離で。ペンギンとか、実はかわいくないんだよね。じっとしてる。野生の生きものは本当に合理的で、むかつくくらい合理的で、生きるのに最短距離なんだ。交尾、セックスだって愛してて気持ちいいからじゃなくて、ただ、子孫をふやそうっていう本能から、やってるだけ」  わたしは、セミに、誰でもいいけど、愛されたい。   そうじゃなければ、水族館の動物になりたい。溶けてる、ちがう、おしっこもらしてる。下っ腹の激痛は、やっぱり血尿だろう。人間のにおいがする。これを全部出し切れば、体は治って、ペンギンになることもできるだろうか。
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純文学[文芸]
最終更新日:2021年11月06日
短編
外国の使節を前に、堂々とした態度で陛下のお言葉を英訳して伝える通事。身分は低くとも高給優遇される通事は、若い下級士族たちにとって、憧れの職業の一つだった。 「どうしたら、あんなふうにしゃべれるんじゃろ」  ヤーバン皇国サマエ藩の下級士族チカラは、同僚たちの前でそういった。 「ローマ字読みを止めて英語読みにすればいいんじゃ」  リョウガは、簡単にそう返した。  そんなことあり得るのだろうか、藩士たちの口論が始まった。その結果は?  
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その他[その他]
最終更新日:2021年11月15日